2010年11月26日金曜日

シンガポール報告:シンガポールのユニクロ。

Orchard(先般解説の通り、日本で言えば銀座みたいな雰囲気の場所)に、日本のユニクロを発見。店舗見学してみた。

価格はこちらもトータルに安い。靴下3足が日本円換算で1000円位とかで、価格帯の感覚も日本と近い。モノも日本で売っている感じのものと殆ど一緒。

Orchardの立地も、日本でも銀座に店舗を持っているので、その感覚だろう。家賃的にペイするのか微妙な面もあるが、現地の知名度を高める、と言う意味においては悪くない選択だと思う。

ただ気になったのが、一年中夏の気候のシンガポールで、「冬物のダウンジャケットとか、もこもこ素材のコートとか、そういう正に”ザ・冬物”が店舗の売り場の多くを占めて売っていた事」である。

これは明らかにシンガポールの気候を無視している。10月ー3月位でシンガポールは雨期であり、湿度が非常に高い。気温も日本の夏のように35度とか猛烈な暑さにはならないものの、常にコンスタントに30度位はある。クーラーが効き過ぎて居るので屋内では上着が必要と言っても、せいぜい薄手のカーディガンとかジャケット、日本の職場で夏に女性がかけている膝から下のブランケット程度が必要と言う程度である。どう考えても「もこもこ素材」は着ないし、厚手のコートなんて着ない環境なのだ。街往く人の殆どが半袖である。オフィスワークをしている人も、せいぜい長袖のワイシャツだ。上のスーツのジャケットまでちゃんと着ている人は多くは見ない。

もこもこの冬服の服装が必要になるとしたら、せいぜい欧米人や日本人のシンガポールの駐在員、エクスパッドが冬に自分の国に戻る時位だ。しかしこう言う人種は会社からたんまり遠方手当てに家賃提供にと貰っていて(いわゆる普通の日本企業でも)大変よろしい生活をしているので、敢えて安価にユニクロでと言うニーズは多くない。(筆者はユニクロ着てますが。ジーンズとか。)

言ってみれば、ユニクロのシンガポールは、ちょっと現地ニーズとずれてしまっているのである。推察するに、商品を選定する権限が、現地の店長や現場の店員に無く、現状日本から決めてしまっているのではなかろうか。あるいは製造を中国や最近はバングラデシュで一括してやっていて、製造サイドで「11月や12月に夏物を作り続ける事の出来る仕組み」が確立されて居ないのかも知れない。製造コストの安い国で標準化された服を大量生産する事で、安価でも儲かる仕組みが出来ているので、シンガポール向けだけ1年中夏物を売る、とは行かないのかも知れない。

しかしちょっと待てよ、今後ユニクロが英語を標準言語にして、グローバルに展開して行くんだとしたら、赤道圏の国々や南半球にも展開する事になるんじゃないだろうか。ブラジルなんかはかなり大きな市場だと思う。オーストラリアや南アフリカもアリだろう。インドなんかも良いだろうし、今後はアフリカ諸国なんかも良い市場だろう。そうなると、クリスマスシーズンに夏物を製造する必要があるのではないだろうか。

現状のユニクロは、ここまでの段階、つまり「Think Global, Act Local」の対応はこれからのようである。柳井氏の今後の腕の見せ所だろう。

それにしても、柳井氏の年収が3億円と判明、とか言うのがニュースで出ていたが、アレは一体何なのだろう。庶民のひがみなのか。尊敬なのか。額が多くて凄いと言う事なのか。何なのか。

筆者からするとこんな事がニュースになっているようでは(あるいはなっているようだから)日本は煮詰まり感から抜けられないのだ。あれだけの経営をしていれば、年収3億円なんて、むしろ安いだろう。あれだけの雇用を生み出して、GDPに貢献して、多くの顧客に(お金持ちでなくても)安価でそれなりにこぎれいな服装を可能にする生活を提供しているのだ。世の中には、年収500万円でも貰い過ぎな人も居るし、年収3億円でも安過ぎる人も居るのだ。この点理解する必要がある。

大体、柳井氏の(氏自身のファストリ株保有によるキャピタルゲイン/ロスによるUnrealized Profit/Lossを除いた)定期的な現金収入の過半は、ファストリ株保有から来る配当収入だろう。現在のファストリの時価総額1.4兆円位で配当利回り1.7%位で柳井氏が25%超の株式を保有しているので、配当収入で年収50億円以上である。給料なんて形だけのもので、無給でもいいし幾らでもいいや、適当に付けといて、と言う類いのものである。それこそ「帳簿上で人件費に付けるか、配当支払に付けるか」位の「概念上のもの」でしかなく、大した意味を持っていないだろう。柳井氏個人の損得を考えるなら、仮にグロスでの収入を同じに設定するのであれば、累進課税の所得税で半分持ってかれるより、配当の方が良いと判断する事もあるだろうし、あるいはファストリの会社の事を考えると人件費で落とせば会社の法人税支払はその分減るなと言う事を考えるかも知れない。しかしどちらにせよファストリの売上利益レベルや柳井氏個人の収入やバランスシートを考えると些細な事であり、やっぱり「適当に付けといて」の類いの話である。

つまり、庶民がひがむにしたって年収の3億円に対してではなく配当収入込みの収入に対してひがむべきであるし、高年俸で凄いとか成功者万歳(筆者的には嫌いなフレーズだが)と言うにしたって配当込みの方に対して凄いと言うべきである。そもそも、時価総額1.4兆円の1/4以上を氏自身で保有し、更には家族も結構保有しているので、柳井氏個人(あるいは家族)のバランスシートには数千億円のアセットが乗っている事になる。これらは完全に開示情報であり、新しい事は何もない。更にそれに対して所得が3億円でしたと株主総会で分かって云々なんて話は、元来ニュースでも何でもない。

それを何の含意があるのか知らないがニュースで報道している時点で、「マネーについてのきちんとした理解に欠けがちな、社会主義国家なんだなあ日本は」なのである。

他人を羨んだりひがんだりする事自体がそもそも「心の貧しい発想」であり、柳井氏の年収3億円と言うのが「ニュースとしての価値がある」(このニュースをみて羨んだりひがんだりする人が一定数量居るから、ニュースになるのだろう)と言う事自体が筆者としては「心豊かな考え方」から程遠いと思う。まず心の状態が豊かになる事が重要であり、今現在幾らお金を持っているかと心が豊かかどうかと言う所に関係はない。

多少話がずれるが大切な事なので付言しておくと、心が豊かになる事は誰にでも今直ぐにでも出来る事であるし、「心が豊かであるように」と言うのは完全に各自の自己責任である。特に衣食住で問題のない生活をしているのであれば尚更自己責任である(さすがに食うや食われずの状態で心も豊かになれ、と言うのは一般の人には難しい事は認める)。政府や政治家がダメだからとか、会社の給料安いからとか、景気が足踏みだからとか、そう言うのは他人に責任転嫁して、ネガティブで批判的な事を話していれば知的だと勘違いしている、実際大した知恵も人格も備えていない人の言い訳に過ぎない。まあ、政府も賢く、税率も低く家賃以外の物価も安いため実質的な会社の給料も悪くなく、景気も調子良い例えばシンガポールのような地域の方が前向きになり易い後押しは強いとは言えるが、シンガポールのようなどう見たって環境的に恵まれている所に住んでいる日本人でも愚痴ばかり言っている人はやはりいるので、結局は自己責任である。

話を柳井氏年収3億円の話に戻すと、それにしてもしかしという事で、そもそも羨んだりひがんだりする対象からして既に間違っていると言うのであれば、これは何とも悲惨な笑えない笑い話である。柳井氏の年収3億円を見て凄いな自分もこんな成功者になりたいなとか、けしからん貰い過ぎだとか言っている人達については、まず第一に「心のありようの圧倒的な貧しさ」から叩き直して心豊かに改善する必要があると共に、世の中のゲームのルール自体をきちんと理解すると言う段階をまずはクリアする必要があると言う事である。


さて、ファストリには、ぜひH&Mとかと並ぶ位の、「日本を代表するグローバルの会社」になって欲しいものだ。H&Mは時価総額で4−5兆円位かな。だとすれば、ファストリの株価は長期ではあと3倍位になっても全然違和感はないと思う。

ヘッジファンド業界では、「長期では、みんな死んでいる」(byケインズ)の世界なので、長期で株価が3倍になるかどうかと言うのは余り関係ない(だからブログに書いている、と言う面もありますな)。

また、アパレルや芸術に携わる人からすればユニクロってどうよ?新興国の人達を安月給で働かせて、機能性重視の安易なデザインの服装をばらまいて、大量生産大量消費の悪しき工業化社会の典型であり芸術性とは程遠く云々、と言った批判がある事も知っているしそれも一理あるとも思う。

更には、柳井氏のスタイルに対しては思う所が全くない訳ではない。つまり余りに言葉足らずで発言が(言ってる事の内容は正しいんだが)唐突で説明に欠けており、周囲の社員が中々付いて行くのに苦労する上、企業規模の拡大と共に「不必要になった、あるいは付いてこれない役員や社員」をバッサリやる氏のスタイルあるいはパーソナリティについては、功罪両面あるなと言う面はある。つまり経営としては効率的だが人の情としてはどうかと言う面がある。あるいは企業の成長について来れないから古参社員をバッサリ切る、と言うのではなくて周囲が分かるように思う事を伝達して説明しながら人を育てる事も、時間はかかるし急激な成長をする意味では面倒くさい面もあるものの、経営者としては大切な役割なのではないかと思う面もある。いやまあ、勿論零細企業の時に必要な人材、急成長時に必要な人材、大企業に脱皮した後に必要な人材は各々全然違うし、自分がある程度おぢさんになった実感として、中々理解の早くない学生やら若手やらに物事を丁寧に説明して教育すると言うのはかなり大変な面もあるので、気持ちも全く分からなくもないのだが。。。

とは言え、ファストリの現在の重要な課題、あるいは長期の投資を考える際のリスクとして、「後継者の育成状況」と言うのは挙げられるだろう。現状では、柳井氏なしでファストリが成長を続けられるとは、投資家サイドから外から見る限りでは考えられない。それは過去の柳井氏の上記の功罪相半ばする経営スタイルとパーソナリティから来る当然の結果でもある。氏自身も恐らくその点自覚して、後継者育成の手だて等を試行錯誤されている事だろうと思う。

しかしまあ、色々思う所はありつつも、海外でも日本企業が活躍している事が実感出来ると言うのは、日本人としては「日本あるいは日本人もまだまだまんざら捨てたものではないと、ほっとする」面は単純にある。

真に芸術性を発揮する服飾は服飾としてニッチで生き残り繁栄するべきだとも考えてはいるものの、産業のない新興国に雇用と生活の糧を作り、先進国ではお金のない庶民にも一定の服装のチョイス、こぎれいなファッションをする余地、それによる一定の心の豊かさを提供していると言う面はあるとも考えている。実は障がい者雇用比率が日本の上場企業の中では際立って高い会社でもあり、雇用からの社会貢献もしている。そんな訳で、個人的には応援している。

2010年11月25日木曜日

本日の名言

不安とか、コンプレックスとか、トラウマとか、満たされない思いとか、世間に認められたいとか。仕事なり、作品を作る事なり、スポーツや格闘技で闘う事なりのキミの動機付けが、もしも今もそういう所にあるのだとしたら、ボクとキミはまだ一緒になる時機ではないと思う。

Unknown

2010年11月20日土曜日

シンガポールレポート:シンガポールの地理事情。

今回はシンガポールの地理事情について。
まだちゃんと把握してないのだが、こんな感じっぽい。


シンガポール土地名=日本で言うどんな感じの場所か


City Hall=日本で言う大手町とか日本橋とか?
Raffles Place=City Hallと雰囲気は近いが日本で言う六本木?外資系金融オフィスがあり、再開発していて、対岸にバブリーカジノビルのマリーナベイサンズが見える。
Marina Bay=お台場か横浜のみなとみらいみたいな感じ?オフィスはそんなないが、ここも再開発していて、バブリーカジノビル、マリーナベイサンズがある。ショッピングモールも高級ブランド中心。
Funang DigitaLife Mall=日本で言う秋葉原。City Hallのそば。家電やPCアクセサリの類いを買う時に重宝。
Orchard=日本で言う銀座。伊勢丹、高島屋、高級ブランドの入ったショッピングモール、と言った類いが多数。
Chinatown、Little India=日本で言う下北沢とか裏原宿とか?方向性はちょっとと言うかだいぶ違うが、値段の安い掘り出しものを見つけたりとか、安くて旨いB級グルメを食したい時に重宝する界隈。China Townでは風水アイテムの「金のカエルちゃん」を購入(金と言ってもフェイクだが、コインを口にくわえた金のカエルは、ビジネスの運気を改善させる)。何せ「運の良さ」が高い事が非常に重要な商売である(ドラクエ3かなんかの職業の「遊び人」みたいだが、まあ実際そうである)。そんな訳でこれはオフィスの筆者のデスクに置く予定である。Little Indiaでは「ロハス必携アイテム」のお香なんかが安く買えそうだし、重宝しそうだ。

ちなみに、筆者は日本で言えば広尾、いやそんなセレブじゃないので中目黒位か。そう言う感じの所に住んでいる。City HallやRaffles Placeから地下鉄使えばほど近く、都心から近いけどちょっと路地に入ると高層ビルが余りなくて、庭の広い低層のマンションや一戸建てが建っていて、外人向けの食材(=シンガポール人にとって外人である日本人向けの日本食食材)も置いているスーパーもあり、案外自然があり静かな界隈である。通勤時間がDoor to doorで30分切るのと緑のある静かな住環境の両立はかなり有り難い。一言で言えば、こんな良い所に住めて幸せである。風水も考慮して物件を決めた事もあり、週末ゆっくりすると英気がかなり養われる。

せっかく素敵な場所にsettle出来たし、同業者の友人も近くシンガポールにお引っ越しなので、生活が落ち着いて来たら休日にホムパなり軽い勉強会(ポジショントークをし始めると気色悪い会になってしまうので、もっとGeneralな投資やトレードの勉強でもいいし、シンガポール生活Tipの情報交換でもいいし、お手軽風水講座等の「ロハス金融道」でもいいかな等等)でも自宅で開こうかとも思ったりする。

つらつら色々書いたが、なんつーかまあ、シンガポールと言うのは、例えて言うなら日本の都心と横浜のみなとみらい地域あたりをギュッと東京23区の面積に濃縮して、公園や街路樹の類いを整えて、渋滞を需給調整で少なくして、人をイージーゴーイングにした、みたいな感じの街である。こう言うのが好きなかたも居るだろうし、そうでないかたも居るだろうが、筆者はかなり気に入った。

それでは皆様、素敵な日曜日を。

2010年11月19日金曜日

シンガポールレポート:日本株の調査環境について。

シンガポール滞在後最初の週末を迎えた。まだまだ色々立ち上げは必要だが、仕事のインフラも徐々に整って来て、ちょっと一息である。

家のインフラも、最低限は整って来た。壊れていたエアコンや、家の中丸見えだった状態からカーテンも付けられた。風水アイテムのサンキャッチャーやウィンドチャイムも然るべき場所に付ける事が出来た。

さて、前置きはこの位で、今回は題名の件について。
一般のかたには余り興味がないかも知れないが、内輪同業者で見て頂いているかたも居る事が最近判明した。同業者諸氏にとっては興味のある事ではないかと思うので、簡単に記載しておこうと思う。


○シンガポールから、どの程度日本株の調査が可能なのか?

結論を言えば、どの程度調査が可能なのかと言えば、「運用戦略にもよるが、殆ど日本に居るのと同じ感覚で調査可能」である。

まず、IT関係のインフラは殆ど日本と環境は同じである。Bloomberg、インターネット環境、普通のPC環境、四季報CD-ROM位があれば仕事が成立する筆者としては、何の違和感もない。

セルサイドとの連絡も、ほぼ日本に居るのと同様に出来る。e-mailだとメールが届くのが数時間遅れる事もあるが、Bloombergのchatやmailだと殆どラグはない。レポート等も普通に閲覧可能な環境を確立出来る。アナリストやエコノミストとのミーティングもPDFファイルのパワーポイント資料を送って貰ったり、テレカンしたり等で簡単に出来る。セルサイドは、野村、みずほ証券等の日系大手証券でもシンガポールにオフィスを持っているし、外資の場合も会社によってはシンガポールオフィスからフォローしてくれる。シンガポールにオフィスが無い場合も東京オフィスから対応してくれる。

日本語の書籍や雑誌、新聞もシンガポールでも簡単に手に入る。Orchardと言う日本で言えば銀座に相応するような中心街に、紀伊国屋書店が入っている。Amazon等で買い物する事も書籍であれば多少送料は高いようだが概ね可能なようである。四季報も手に入ったし、経済雑誌も定期購読も可能だし、本屋で単発での購入も可能だ。新聞は日本経済新聞の電子版を使えば良い。新聞レイアウトで見る機能があり、違和感はない。

主にインターネットの普及により、基本的な調査インフラについては、日本で調査するのと何の違和感も無い、と言うのが筆者の印象である。


○シンガポールから調べる際の利点と欠点は?

まず欠点から行ってみよう。


*取材や決算説明会への参加が出来ない。

特に株でボトムアップドリブンでやられるかたにとっては、「取材や決算説明会出席はどうするの?」と言う点が気になるだろう。これについて筆者の考えを幾つか書いておこう。

感覚的には、Web開示資料で予習+テレカンで充分だと言うかたであれば、日本に居るのと殆ど変わらないだろう。筆者の場合、殆ど違和感は感じない。

決算説明会には確かに出られない。
しかし筆者的には、同業者が何百人も同じ話を聞いていて、特に大型株はセルサイドだって決算の模様をレポートにするし、会においてはプレゼン資料や短信の内容をリピートするので1時間内外使うような決算説明会に出る事でどれほどのValue Addがあるのかについては疑問に思っているタイプである。そのため余り気にはならない。気になった事があれば、個別にテレカンで聞けば良いと考えている。聞いているだけより質問する方がちゃんと頭を使って会社に意識を向けられるので良い面もある。

取材が出来ないと言う面に関しては、「オフィスの雰囲気」「受付が美人の姉ちゃん過ぎないか」「本社ビルがゴージャス過ぎないかどうか」等の、「訪問するから分かる情報」については、シンガポールからの調査だと捨象する事になる。中小型株を手掛ける際等にはこの辺が気になる諸氏もいらっしゃるかも知れない。

しかし、筆者の場合既に日本株の調査については殆ど一周してしまって居て、僭越ではあるが日本株であれば応分の土地勘も既にある。余り気にはしていない。むしろ、「海外からのテレカンに真摯に対応してくれるかどうか」と言ったソフト情報でもって会社の判断をする、と言った新しい評価方法も考えられそうだなと感じている。

どうしても気になるのであれば、決算シーズンだけ東京に出張するのも良いと思う。実際そうしている同業者も居る。ただ、筆者については上記の通りの考え方なので、取材のために東京に出張すると言うのは現状の所考えていない。決算説明会にせよ取材にせよ、1日で回れる会社数は数社が良い所である。移動時間もある。筆者については「物理的に距離が離れているからこそ出来るアプローチ」を開拓したいと考えている。


*日本の季節感が把握しづらい。

これは残念ながら否めない所である。小売の月次など、気温や天候が重要な事柄でトレードなり投資なりを考えている際は、難しい面もあるように思う。日本に居れば、猛暑だからダイキンやビール会社が良いなとか、天候が冴えないのでアパレル小売の月次は今月ダメだろうなとかが自然と浮かんで来る面があるが、シンガポールではこれはしづらい。なんせこちらは一年中気分良く夏、と言う感じである。今は雨期で、今もスコールが降って雷が鳴っている。

上記のようなトレードをやられたい向きのかたの対処法としては、体感が伴わないので多少不利ではあるが、Webで定期的に気温や降水、日照時間推移等を観察する事になるだろう。また、テレカンでアパレル小売系の会社等に頻繁に月次の推移等を聞いておけば、大まかな所位は把握出来るようにも思う。


さて、次は利点である。


*閉塞感、煮詰まり感と言うものが全くない。

これはシンガポールに来て一番良いと思ったポイントである。

日本に居ると、マスコミやら電車内の週刊誌の宙づり広告やらはどうでも良い話や余り前向きとは言えない記事で世間を満たしているように思う。日本に居た頃はそんなに意識しなかったが、外に出るとこれは本当に歴然として良く分かる。シンガポールには、これが無い。電車の中吊り広告で、英語で政治家の批判や芸能人のスキャンダルのお題等が書いていたりはしない。まあ、マスコミはかなり情報統制されているようなのでそれもあるんだろうけれども、日常生活の感覚としては、余りネガティブワードばかり見ないで済むのは有り難い事だ。

日本の場合、人と経済や政治の話をしていても悲観的、批判的な話が多かったように思う。しかも他人事で考えて居て、当事者意識がない場合も多い(自分自身が今ここでほんの微小でも世の中を良くするために何が出来るか、と言った視点が欠けがちだと言う事)。これも外に出てみて歴然とする。

例えば日本に居ると、同業者と話をしていると、煮詰まった話が少なくなかった。あるいは楽しいとあまり思えないような会話が多かった事も、とても残念な話ではあるが、否めなかったように思う。同期の誰それがMDになったとか、どこそこがリストラしてるとか、統合再編で社内政治関係が面倒とか、他人との比較とか、カネの話とか、社内の非合理不都合の話とか。

言ってみればまあ、「経済的なピッツァの円いパイの8割9割がたを既に食べ終わってしまっていて、パーティは終わってしまっているんだけど、お暇するチャンスを逃して何となく気まずい気分が残りながらも場に残って居て、残りの1−2枚の冷えたピザの取り合いと言うか椅子取りゲームをやっている」と言った雰囲気、とでも言おうか。(こう言う雰囲気から距離を取りたかったので筆者は日本に居た頃も最後の方は湘南に引っ込んでいたと言うのもかなりある)。

一方で、シンガポールに居ると、都会でありながら、湘南と負けず劣らず、こう言った話と殆ど全く関わらなくて済む。街は活気に満ちており、ヒトモノカネの交差点としてマネーや情報、ロハス金融マン的あるいは風水的に言えばある種の「氣」が円滑に大量に流れている。気候は南国的で開放的。週末は日本の国内旅行の感覚でタイやプーケット、マレーシア、インドネシア等近隣の国にショートトリップに安価に行ける。インドネシアのビンタン島にはフェリーで50分位で手軽に行ける。でもって、週末エンジョイ出来るように平日は集中して仕事に励む。アジア近隣各国から優秀な人材が集まる事もあり年収水準は日本対比で高いとは言えないものの、不動産の家賃以外は物価も存外高くなく、税率も低いためそんなに高給取りでなくても比較的上質の生活が出来る。

上手く言えないが、こう言うライフスタイルを自然と過ごそうと言う気分にもなり易いし、こう言うライフスタイルが過ごせる環境も整っているのである。南国に鬱は少ないと言った統計も確かあったように思うので、気候等も影響しているのかも知れない。余り批判的にならず、開放的な気分で自分自身が今出来る事なり貢献なりをきちんとやって、何より人生楽しもうよと言う雰囲気になりやすい環境がある、と言うか。シンガポールの一番素晴らしい点はこれだと思う。


*適度な距離感により、客観的に相場を見る事が出来る。

セルサイドからの頻繁な電話等が余り来ないし、煮詰まり気味の同業者から始終ネガティブな話ばかり聞かされる必要がない。情報も日本語だけでなく英語で結構はいってくる。結果として、「適度な距離感、適度に客観的な状態」で市場と接する事が出来る感じがする。筆者的に、これが結構気に入っている。


*「パンアジア全体からの視点」が涵養されやすい気がする。

例えば、スーパーマーケットに行ってみる。ユニリーバ、コルゲート、P&G、ネスレ、ケロッグと言った欧米消費材メーカーの製品、中国のYaoだかYeo何たら言う飲料や中国で有名な上場企業でもある味千ラーメンのチェーン店、日本の花王やライオンやマンダムだの商品やら明治乳業だポッカだの飲料、セブンイレブン、SoyJoy(今般上場する大塚ホールディングの製品)と言ったものが、英語、中国語、日本語表記ごちゃまぜで置いてある。アジア圏の中で既に新興国から脱皮して先進国になっている国のある種の縮図のようなものを体感出来る。

これによって自然と、「マンダムの髪型の提案は、現地のシンガポーリアンで良く見る髪型のニーズとちょっとズレてる感じがするな」とか、「日本の製品はちょっと値段が高いな」とか、「明治乳業の乳製品って結構シンガポールで見るね」とか、「欧米企業、中国企業等とも競合するので、日本の消費材市場が海外参入するには工夫が要るだろうな」とか、「シンガポールって案外インターネットショッピング環境がローカルで整ってないな、楽天シンガポールとかあって欲しいな、でも国土自体琵琶湖と一緒、東京23区位だから買い物も短時間に狭いエリア回って完結しちゃう面もあるな」とか、色々な「アジア消費市場に関する情報」を、感覚的に浴びる事が出来る。

日本企業もアジア進出、新興国進出と言うのが重要な長期テーマになっている事もある。日本の決算説明会や取材に直接行けない、と言った不利さを補うに充分な「感覚情報」がここにはある。

また、不動産業者等と話すと、インドネシア人の成金がシンガポールでクソ高くなった不動産を買っていると言った話も聞けるし、友人と話せば「中国かどっかの大手海運会社が、シンガポール中心地の高級マンションに投資して貸してる」「日本で言う億ション、しかも億の前半ではなくて後半のマンションが建っている」と言った話が自然と耳に入って来る。空中のコンクリートで区画された四角い箱に対して5億円も10億円も払うと言うのは、筆者の感覚で言うと理解に苦しむ。理解に苦しむ段階に入って居る投資対象と言うのは、注視すると面白い。

インドネシア人の成金の話は、これと合わせてインドネシアの長期金利が上昇し始めているとか、某社のインドネシアの10月月次が悪かったですとか言う情報と合わせると、ちょっとインドネシアはCautiousだなとか、結構面白い示唆を得たりする事が出来る。

海運会社がノンコアビジネスで不動産をやっていると言うのは、ちょっと過熱感を感じる話だし財テクに走ってる時点で日本のバブルのいつか来た道と言う感じがするんでこの海運会社に投資がしようとは思わない。

億ションの話も、Fedのじゃぶじゃぶ金融緩和がシンガポールの億ションに化けているんだなと言う事が実感出来、グローバルマネーフローを考える上では案外参考になる。日本はもはやグローバルマネーフローの中心地ではなく辺境国になろうとしている事もよく実感出来るし、一方で日本の低金利や不動産の利回りの高さなんかに注目する海外投資家が出て来てもおかしくないな、でも日本の経済成長率、人口成長率の面を考えると、単純に利回りで比較する事は出来ないな、株で言う所のPER(利回り)=d(配当性向)/(r資本コスト-g成長率)のGrowth、gの所のサジ加減の入ったValuationが不動産でも付いていると考えられるな、等と色々な思いが去来するものだ。

言語的にも、英語、中国語、たまに日本語が飛び交っている。シンガポーリアンは、「英語と中国語のバイリンガル」と言う、当面最も市場価値の高いであろう要素を、見事に簡単にクリアしている。でもってファイナンスとか統計とかに詳しい訳である。日本でこのレベルの人材がどれだけ居るだろうか。筆者も「このレベル」に全く至って居ない。こりゃ中国語は必須だな、中国語を学習する機会はぜひ持ちたいものだ、試せる場所や相手にも困らないし、等と言う自覚も客観的に明瞭に持てる。グローバル金融市場における日本人の価値、自身の価値と言うのが客観的に見えると言う感じであろうか。

こう言うのが、シンガポール拠点で仕事をする良さである。

では、皆様良い週末を。

2010年11月13日土曜日

報告:シンガポール到着報告+シンガポールのサービス業のレベルについて

やっとネットにも繋がった。先ずは報告。

さてネットだが、NTTコミュニケーションが出資しているので、ささやかなジャパニーズ支援と言う事でStarHubを使う事にした。

ところがどっこい、セールス対応の中国系のおばはんのサービスが余りにひどく、インターネット接続が確立しないでトラブルが起きているのに、テクノロジーサポートに後は聞いてくれバイバイで去ってしまった。

テクノロジーサポートに電話すると、最初は「日本語のMacには対応出来ない」とかたわけた事を言い始めたので、「ちょっといい加減にして、Macは言語の違いを除けば英語版と日本語版でシステムに違いはない。英語のMacのトラブルシュートのマニュアルで事足りると思うので対応すべし。インターネットに接続出来ないインターネットプロバイダなんか前代未聞だ、あまり酷いと解約しまっせ in English」位にぶっ放した所漸く真面目に対応する気になったようで、やっと繋げられた。海外だとやはり、日本人レベルの察しと思いやりを期待するのは中々難しい。ロハス系も言うべきは言わないと生活が成り立たなそうである。日本でPPPoEで接続していた設定が間違いで、今回はDHCP接続だったのがポイントのようだ。

と言う訳でシンガポールのサービス業のレベルは、アメリカ程酷くはないが、日本よりは結構ばらつきがある、と言った所である。

例えばスーパーマーケットに行くと、現地のレジ打ちの店員が「モノの配置や順序(例えばタマゴを重いものの下に置かないとか)を考慮して、きちんとビニールに詰め」たり、ジャパニーズ的な事をしてくれた。また、電気屋の店員さんも詳しい人は結構キチンと教えてくれる。

一方で、部屋の清掃業者は最初の業者は「床は掃除出来ない、これは壁をペイントしたペインターが汚したのであり、俺の仕事じゃない」等とご高説賜って勝手に去っていったので、これまた「いい加減にするべし、この清掃業者はもう使わないで欲しい。契約には大家側負担で部屋を清掃した上で引き渡す、と言う内容も入っている。キッチリ掃除して引き渡し完了して欲しい、と大家さん側のエージェントに伝えて欲しい」と当方のエージェントに頼んで、キチンとした業者さんを呼んで貰った。仲介に入った不動産エージェントがまともだったのがまだ救いだ。

そんなこんなで、まずは到着報告までにブログしてみた。
今後とも皆様にはご指導、ご鞭撻賜ると幸甚である。

2010年11月5日金曜日

シンガポールレポートその2:不動産屋の活用法。

お次は、シンガポール移住時の不動産やの活用法を幾らか書いておく。留意点は、概ね以下である。


○property guruで情報入手。


上記サイトで、条件を入力すると、色々物件が出て来る。

表示価格は必ずしも正確ではなく、あるものはオーナーのリクエスト価格(値下げ可能)だったり、あるものは「この位の値下げは可能だろう」と言う不動産エージェントの推測も入れた上での「Guide Price」だったり(これだと、思ったより家賃が高くなる可能性もある)する。また、検索に引っかかるように、わざと安めの価格を入れて「釣り」に入っているようなものも中にはあるようだ。しかし、トータルに考えると、どこらへんの地区にどう言う物件があって、大体幾らなのか、と言う大雑把な所を掴むには非常に優れている。


○不動産エージェントの選択。

後は、property guruのウェブサイトや、知人からの紹介で不動産エージェントを活用して、筆者のように「不動産物件ツアー」を組んで貰う事になる。この際の注意点は、以下の通りである。

・「Exclusiveにしろ」とひつこいエージェントは使わない。

Exclusiveとは、他の不動産仲介業者を使わないで、自分とだけ物件見学ツアーを組んで、自分と必ず契約を決めて欲しい、と言う事である。当たり前だが、これだと主導権を不動産仲介業者に握られてしまうし、この不動産仲介業者が選択眼やこちらのニーズを把握するセンスに欠けていて、検討はずれのモノばかり持って来た場合には対応不能になってしまう。サクッと断るべきである。断っても色々理由をつけてひつこくExclusiveを請求して来る不動産エージェントは使わない方がいい。サービスに自信のあるエージェントなら、断っても「分かりました、では限られた日程、与えられた時間でベストの物件をサーチしましょう」と言って淡々と事を進めてくれる。


・不動産エージェントの仕組みについて。

不動産のエージェントは、大家側、賃貸物件探す側の双方に付いている。この制度を知っておく事は重要である。つまり、読者が不動産を探す際は、賃貸物件を探す側のエージェントにコンタクトしていると言う事であり、純粋に物件検索側の都合でもってエージェントには動いて貰って然るべきで有ると言う事である。従って、これであるにも関わらず大家の都合等を先に持ち出すエージェントを使う必要はない。

また、不動産エージェントの多くは、ほぼフルコミッションで動いているようである。つまり、会社名は同じでも、エージェントの多くは個人商店として個人で動いていると言う事であり、社内で競合している例も少なくないと言う事である。この点を理解しておくと、エージェントの行動を読み易い面もあるので覚えておくと良い。


・日本人のエージェントが必ずしも良いとは限らない。

筆者の場合、日本人のエージェントで、言語は日本語だが、言語が噛み合っていないエージェントに遭遇した経緯が有る。Exclusiveをこっぴどくひつこく強要され(しかもエージェントの収益的にExclusiveでないと困るとか、ダブルブッキングすると大家が怒るとか、向こうの理由ばっかりで、肝心の物件の提案がない)、その上さっぱりこちらのニーズを把握して居なかった。「筆者の勤務地であるオフィス街へのアクセスは良いが、一方で静かでそれなりに自然があって、予算も一定の範囲内なんて無理だ、郊外で自然の多い所かオフィス街近辺で自然や静かな環境は諦めるかにしろ」「シンガポールは1−2日で物件が捌けるから、事前に見学リストは作れない」と言った認識をエージェントに持たれてしまい、何だか筆者の方が「無茶な要求を出す悪者」みたいにされてしまった。これはプロフェッショナルとしてどうかと思ったので、勿論丁重に、しかしロハス系の筆者にしては結構強い言葉でもってお断りした。

結局、勤務地から4-5km圏内、毎朝タクシー勤務しても過大な負担にはならず帰宅は地下鉄でドアtoドア30分圏内、ショッピングセンターへのアクセスも良く、地下鉄の駅も近く、ぎりぎり予算の範囲内で、築年数は10年位経っていて多少古いもののこぎれいな範疇で、かつ大通りをちょっとはずれて一本路地を入った所にあるような静かで樹々や緑も確保されているような物件が見つかった。ほーら見つかったじゃないのアナタ、と言う感じである。property guruを検索していた所、この手の「Peace&Quiet、交通の便、予算の制約」を満たす物件は、築年数で多少妥協して、ビジネス街の中心地を多少外れた位の立地であれば幾つか散見されたので、その線で探していたのである。シンガポールにも不動産にも素人の筆者以下の提案力しかない仲介業者では、はっきり言って困る。

一方で、最終的に契約を決めたのは、シンガポーリアンである。言語はSinglishのややEnglishに近い版位で所々聞きづらい所もあったが、契約形態や契約書の内容も分かるまで説明してくれたし、物件チョイスのセンスと言うか、ニーズの把握の仕方が洗練されていて良かった。まずメールで小生に質問表を送り、ニーズを把握する。それにマッチしそうな物件をWeb上で候補を10−20物件紹介する。そのうち3物件をピックアップする。最初の物件をベンチマークとして見学し、物件の良かった点と、もっとこうだったら契約に至るのになあと言う点をヒアリングする。でもって2件目からはより細かい条件にフィットしたものを紹介していく。非常にこなれていた。結果、このエージェントで決める事になった。

ただ、日本人エージェントの良さも勿論あり、筆者も日本人のエージェントも活用した。日本の不動産事情とシンガポールのそれの違い等を聞くには、やはり日本人の不動産エージェントの方が長けているように思う。例えば、日本人の不動産エージェントからは、以下のような情報を聞く事が出来た。

–地震が無い事もあり、シンガポールの建築物は日本の物件と比べると安普請のものが多い。また、このような事情から日本の物件よりもシンガポールの物件は質の劣化が激しいので、築年数が同じなら、日本の物件よりシンガポールの物件の方がかなりあちこち劣化していると考えた方が良い。修理も日本より頻繁に出るので注意が必要。更には、シンガポールは暑くて湿度も高いため、古い物件では「ゴキブリ発生リスク」が高まる。この点も注意が必要。

–特に水回りの面で、日本の物件よりもシンガポールの物件の方が実力差が出易い。ひどいものになると、排水口が設計ミスだか建築ミスだかで間違ってコンクリートで塞がれてしまっていてまともに排水が流れないと言った事態が生じているような、日本人の感覚では理解に苦しむような物件さえある。プールやジム等の設備の豪華さだけで判断しない方が良い。

–HDB(政府の公団住宅)は、家賃は安いが全体に管理が行き届いて居ない事が多い。管理人が不在で、清掃業者も政府から時折派遣されるがコスト削減のため回数も少なくて適当の事も多い。管理人が居ないと言うと言う事は、苦情の統一された言い先、窓口が無いと言う事も意味する。人種のるつぼのシンガポールだと、近所が煩いとか文化や常識の違いによるコンフリクトも色々予想されるし、苦情の言い先が無いと言うのは結構ハードである。更には、水回りの面でも、水の節約のためにシャワーの勢いが弱いとか、問題が有る事も多い。単にプールやジムが無い、と言った装飾以上の差がコンドミニアムとHDBにはある。家賃の差がそんなにないならコンドミニアムをお勧めするし、ある程度予算があるならコンドミニアムを推奨する。

・・・等等。こう言った、「日本とシンガポールの物件事情の違い」にフォーカスした情報をくれるのは、やはり日本人の不動産エージェントである。


○物件の決め方。

先のブログでも述べたが、シンガポールの賃貸物件の回転は恐ろしく早い。優良物件は出して1−2日、高級物件でも1週間もあればDoneするそうだ。なので、優良な物件と巡り会えて契約出来るかは、かなり運にもよる所がある。

こう言った中で物件を「焦らず」「しかし適時のタイミングで」決めるには、多分こんな感じだろう(筆者はこんな感じで決めた)。

–まず、property guruを眺めながら自身の物件ニーズを的確にしておく。場所、立地、広さ、設備、築年数、予算等等。筆者の場合、朝が早いので職場から4-5km圏内で、交通の便が良く、タクシーが捕まえ易い場所である必要があった。一方で、人ごみは苦手なので、静かである程度自然がある、と言った場所が良かった。シェアでなく一人暮らしが良く、バスタブは必ず付いていて欲しかった(シンガポールの物件では、特に一人暮らし用物件だとシャワールームだけの物件が、特に新しい物件では多い)。一方で家賃の制約もあるので、築年数は多少妥協して、築15年位までなら良しとして、プールやジム等のファシリティには余り拘らない事にした。

–また、property guruに何週間も掲載されっぱなしの物件は問題物件の事が多いので避ける事。良い物件は1−2日で捌けるのに、ずっと捌けないと言うのは、何か問題があると言うサインである。

–シンガポールで物件を探す前に、エージェントに「何件か物件を挙げて、現時点での内覧ツアーの予定を立てて欲しい」と頼んでおく。ここで「Exclusiveにしないと計画立ててやんない」「シンガポールでは1−2日で物件が捌けるから現時点では計画を立てるのは無理」と言った態度のエージェントは即切る事。内覧ツアーのモデルプランを見ない事には、相手が自分のニーズを掴んでいるか分からない。「1−2日で物件が捌けるにしても、現時点でのプラン」と言うのは見せて貰う必要がある。物件が捌けてしまったら類似物件を補充すれば良いから、とりあえず数件列挙して欲しい、と告げておくとよい。

–内覧の際は、最初の2−3件はベンチマークとして割り切る。例えば、最初の1件でプールとジャグジーとジムが付いていてわーおすごい、と思ってしまうかも知れないが、シンガポールのコンドミニアムには大概その位は付いている。感覚として、数件程度は実際に見て比較して初めて、物件クオリティと価格の関係と言うか、「各々の物件に対する値ごろ感」のようなものがだんだん掴めて来ると思う。

–価格交渉をする事。先方の言い値家賃は交渉のスタート地点でしかなく、交渉するだけで1割位、上手くやれば2割位引けるかも知れない。また、家具を付けて欲しいと言った交渉も可能である。全ては大家側の気分と都合次第である。

–どうしようか迷う位の物件は気にせず焦らず流す事。賃貸物件の流動性は極めて高い。相当無茶苦茶な条件であれば話は別だが、それなりに現実的な希望を持っている場合は、幾らか待ったり探したりすれば、頭に電気がぴかーっと光って「これだ!」と手を叩きたくなるような物件は大体出て来る。

–そして、物件クオリティ的にも、価格交渉面でも、「これだ!」とどんぴしゃで来るのがあったら、速攻で決めに入る事。まごまごしていてはいけない。特に物件内覧ピークの週末をまたぐとまともな物件は大体決まってしまう。注意が必要である。


○契約履行の進め方。

日本人エージェントの場合は、日本語での説明が入るし、契約書や領収書の類いも日本人的常識に沿って準備されるので契約履行面での不安は少ないと思う。

シンガポーリアンのエージェントを使った場合は、英語の契約書面なので理解が行くまで必ず何度でも内容を聞く事。またお金の支払が伴う際には、例えば仮押さえの際に払うDepositについては契約が流れた際にちゃんと返金してくれるのかの確認をする事、また必ずオフィシャルな領収書を出して貰う事等に留意するべきである。


・・・駆け足で説明したが、とりあえずこんな感じだろうか。何らかの参考になれば幸いである。

2010年11月4日木曜日

シンガポール現地レポート:経済面中心に雑感。

(バブルの塔?それとも実力相応の近未来系カジノ?)

さてと。ようやっとシンガポール現地でのPC使用環境も整い、目標であった物件サーチは1日で済んでしまったので、少しシンガポール現地の雰囲気をお伝えしたい。まずは、不動産の賃貸物件を探したり、街を歩いたり、既にシンガポールに住んでいる友人から聞いた話をもとにした、経済面の雑感から。


○ハッキリ言って、これはバブリー。

第一印象は「これがバブリーってやつか!」である。

・レストランやビアパブ等では、昼間の夜の早い時間から、お客で溢れ返っている。
・あちこちでオフィスビルやコンドミニアムが建設中。クレーンが沢山。
・最初の写真のカジノのような、「建物としての経済性、効率性、耐久性等を考えると明らかに非効率な、ビジュアルやランドマーク性重視のバブリータワー」が建設されている。普通やっぱり、箱形のビルが、建築するにも運営するにも経済的なのですな。
・外資系金融オフィス街で働く人達の表情が心なしか明るい(日本とはこれが全然違うよなー)。
・普通の人間でも、若造でも都心ど真ん中のプール付きラグジュアリ物件に住んでいる。友人に、彼女がシェアして住んでいるマンションを案内して貰った。シンガポールの夜景を一望、広大なプール、ジム、テニスコート等等。パークハイアットだグランドハイアットだもびっくりのセレブ仕様の高層マンション。6000シンガポールドル(40万円位)の家賃の物件らしい。友人のようにシェアして住んでいる人も居るようだが、エクスパットでシンガポールに赴任していると思しき若者が1人で住んだりもしているそうだ。確かに、内部のプールやテニスコート等見ると、利用者が若い。
・不動産の仲介業者のコメント。こんな感じだ。

–「賃貸物件は、普通に住めるクオリティの物件なら出したら1−2日で埋まる。完全に貸し手の市場だ。」(これは実際に筆者が賃貸物件周りをして実感した。昼頃に見た、正直大した物件だとは思えなかった物件が2時間後位に既に他の人からオファーが入った旨が不動産やさんの携帯に電話されて居たし、比較的良いなと思った物件の一つも、割引を試みてもその率は低いものであった上、夜に駐在員が来てDoneしていた。そんな訳で、1日目最後の”素晴らしいと思った物件”の家賃を2割弱引いてくれた上、家具なしだったのを先方負担でFull furnishedにしてくれる、と言う条件が来た時点でDoneした次第である。11/5がシンガポールの祝日だったので、そこまで待っていたら確実に埋まってしまっただろう。感性に訴える物件が比較的良い条件で来たら、一発でキメてしまう必要を感じた。)

–「売買物件については、利回りは今や3−4%位しかない。昔からの投資家はシンガポールへの投資から、マレーシアのシンガポール近辺の都市等への投資を検討する段階に入っている。今からシンガポールの物件を買うのは、キャピタルゲインを狙う人。インドネシア人の成金とかが多い。」

–「政府が不動産投機の抑制策に入っている。例えば、HDB(政府の公団住宅みたいなもん)は買ったら3年だか5年だか間を置かないと転貸出来ないようにするとか(HDBを購入して、直ぐ転貸して、購入したHDBを担保にして次の物件購入の借入を引き出して次を購入へ、、、と言うのを防ぐためだろう)。」

–「リーマンショックの際に地価が急落したが、この時点で待ってましたとばかりに沢山買いの問い合わせが来た。今やリーマンショックの前よりも地価、物件価格とも高い状態になっている。値段が高過ぎて最近売買の流動性が落ちて来て居るので、仲介業者的には困っている面もある。もう少し手頃になってくれた方が、ボリューム×単価のバランス的に、ボリュームが出てくれて助かるのだが。」

–日本人で日本人の駐在員等をメイン顧客にしている不動産仲介業者の案内車は大衆車だった(まあ、昨今の日本人の勢いはこんなもんなのだろう)一方、中国系シンガポーリアンの不動産仲介業者の車が、BMWだった。確かに筆者のニーズの痒い所に手が届いておりサービスも行き届いて居たが、シンガポールでは車が非常に高い事、シンガポールの不動産業者は会社ののれんを借りてほぼフルコミッションで個人商店的に動いているらしい事を考えれば、それにしてもこのシンガポーリアンの不動産業者は相当稼いで居るのだろう。


・・・これらはバブルの典型的な状況、かつ結構バブル後半戦の兆候である。世界中の先進諸国の中央銀行がガンガンに金融緩和したお金は、先進諸国の経済を活性化させる所に流れているのではなく、じゃぶじゃぶ資金として新興国に流れている事を実感した。シンガポール自体は先進国だが、アジアの新興国投資(証券投資にせよ直接投資にせよ)のハブがシンガポールなので、そこにマネーが集約していると言う事である。でもって、上記の「マレーシアの不動産にも触手が伸びる」のパターンに典型的に見られるように、より高い利回り、割安な資産を求めて周辺諸国にマネーが流れているのである。シンガポールの状況を見ていると、タイとかインドネシアの株価、経済が好調なのも非常に実感が湧く。

シンガポールの上場企業の株価までは最近見ていない(これからはちゃんと見ないといけませんな)。とはいえ、筆者的には、シンガポール自体の株や不動産にこれから投資しようとは余り思えなかった。既に、「もっと周辺国」「もっとハイリスクハイリターンの投資先」にお金が流れるような段階である。

インドネシアの成金が最近の高級コンドミニアムの買い手になっていると言うのは、日本人がバブル末期にロックフェラーセンターを買いに行ったり、サブプライムバブル崩壊の直前にニューヨークの高級物件をアイルランド系の人達が買ってたのと同じである。田舎者の成金が札束にもの言わせて高級物件を買い漁って「どうだ凄いだろう」とばかりに欲求を充足させるような段階になったら、結構後半戦である(こう言う投資家は、損する可能性が高いが、しかし彼らも欲しいものを手にしている。お金を払ってリターンを得るのではなく、見栄とか奢侈心を満足させていると思われる。人間、マーケットでキチンと欲しいものを得ているのである。であるが故に、どう言う心境で相場に参加するかは重要である)。また、最初の写真のカジノビルは、ドバイバブル崩壊直前に建設された1kmビルを彷彿とさせる。かなり注意が必要だ。


○シンガポールバブルは崩壊するか?・・・案外長続きするかも知れない。

しかし、シンガポールの場合、上記のバブリーな状況に、ファンダメンタルがある程度付いて来て居る事が、日本のバブルやサブプライムバブル崩壊直前のアイルランドの成金(アイルランドは、ユーロ統一で、経済の実力よりもずっと低い、ECBの中心であるドイツ同然の低リスクプレミアムの恩恵を受けていたため、成金が多数出て、その後ガタガタになった国である)と、シンガポールの違いである。

つまり、政府の巧みな政策により、世界中から「お金を沢山落としてくれる産業」(金融もその一つだ)を誘致する事に成功しており、実際にヒトモノカネが集まっているのである。不動産バブルによる信用膨張と言う危うい一本足打法ではなく、実際に経済活動が活発なのである。

筆者の労働ビザの許可もあっと言う間に降りた。採用先の会社に発給事務をやって貰ったが、パソコンからの手続きだけで全部完結するようになっている。申請からApproval(実質的な仮労働パスのようなもの)まで1週間もかかっていない。日本の官庁でこれが可能かと言うと、まず無理だろう。

不動産業者によると、今般相続税も緩和されたそうで、世界中から金持ちを移住させる算段のようである。金持ちがシンガポールに住めば、ラグジュアリに消費してくれるしコンドミニアムも買ってくれる。そうなれば益々消費も投資も盛んになるので、減税した分を充分オフセットするだろう、と言う算段だろう。

何と言うか、滞在して2日しか経っていないが、政府が一流企業ばりに戦略的でやる事が巧みで機動性がある事、結果として経済が大いに繁栄している事が実感された。

ちなみに、シンガポール政府のやる事の巧みさは、上記のような税制や移民に対する考え方からも伺えるし、日常生活の中の些細な事にも感じられる。

例えば交通。ご存知のかたも多いかも知れないが、シンガポールでは渋滞が殆ど無い。これを実現するために、政府がかなり大胆に価格をコントロールして自動車トラフィックの需給調整を行っている。

まず、政府が自動車の保有を制限するために重い税金をかけているため、日本で言えば大衆車並みの車でも、保有しようと思うとベンツ並みに高い。

また、交通はERPと言う料金徴収マシンでコントロールされており、渋滞して来ると料金が高くなったりするようになっている。

一方で、地下鉄はすこぶる安価で、日本円で言えば数十円とか100円とかの料金でシンガポールの市街地主要区間の移動が出来る。バスも非常に安価だ。

タクシーも日本よりはかなり安価である。これも「車を持って一人で運転しないで、タクシーを皆でフル稼働で使いましょう、そのほうが道が混まないし」と言うシンガポール政府からの意思表示と考える事が出来る。だが、最近「ラッシュアワーチャージ」「上記のERP通過チャージ」等が追加されており、以前よりは渋滞時にタクシーを使う事に対するペナルティが重めになっているようである。タクシーから更に一歩踏み込んで、渋滞緩和のためにバスや電車を皆使ってくれと言う政府からの意思表示を、価格付けを通じて明確に感じる。

また、町並みが計算されている事も、少し街を歩けば実感出来る。都会でありながらあちこちに公園、木立のあるちょっとした広場、街路樹等が沢山ある。道路も広く取られていて余裕がある。都会でありながら全体的に、比較的快適な環境が実現されている。国の都市計画そのものが、「不動産価値のバリューアップを意識したもの」になっているように思われた。

そんな訳で、日本の政治のもっさい感覚とはまるで違っていて、一流企業のマーケティング的なセンス、「価格」「税金」と言うマネーの概念、機能をフル活用し、その上都市計画等も含めてトータルに「シンガポールと言う国のバリューアップをする」と言う目標を達成しに行っている事を明瞭に感じる事が出来た。結果として、企業も赴任する従業員も、低い税率、理解のある規制環境、快適で良好な都市環境を謳歌出来る状況が「戦略として、意識して」造り上げられている事も明瞭に感じた。日本の政府も、シンガポールをモデルにして、もっと大胆な政策を取った方が確実に良いと思う。

そんな訳で、多分にバブリーな面も抱えつつも、こう言った「政府の巧みさ」「それによる経済の繁栄」と言った、「ファンダメンタルとして優れている面」もあるので、筆者の感覚的な結論としては、タイトルの通り、「シンガポールバブルは崩壊するか?・・・案外長続きするかも知れない。」と言った結論になる。

・・・しっかしアレだな、条件反射でこう言う事を旅行で感じてレポートしてはウキウキしてしまう辺り、やっぱり金融マンなんだな俺、等と思う筆者であった。仕事前のウォームアップになってくれるかな。

2010年11月1日月曜日

ハワイ、調和、共生。

Twitterで書いていた、ハワイに詳しくてハワイアンマッサージ等が受けられるかたのサロンはこちら。

ヒーリングサロン ’Ano’Ano (アノアノ)
http://anoano.jp

彼女のブログはこちら。

肩に力を抜いた自然体の生き方、と言うのに興味のあるかたはどうぞ。