2010年3月27日土曜日

とある知人からの連絡続編(厳しい現実編)

(出所:http://www.istockphoto.com/)

とある知人からの連絡の続編である。

知人のビジネスが会員制のビジネスで、この会員が顧客だったので、顧客向けの緊急説明会と言うのがあった。筆者も会員の一人としての立場なので、参加した。

今後の会の運営について不安を訴える声が多数。
報告が遅い、なぜもっと早くに説明してくれなかったのか、説明してくれればもっと打ち手はあったのにと会社側の対応に疑念を持つ声も幾つか。
売掛が回収出来て居ないと言う声も幾つか。大家さんだけでなくて顧客にも物品納入等が遅れていたようだ。筆者も初めて知った。
債権者集会では無かったのだが、経営状態の開示をして欲しいと言う声も色々。今後運営出来るのか、会員費等が値上がりするリスクはないのか、と言ったリスクを考えると、会員もどうしても経営状態を知りたくなる。

少し残念だったのは、経営者側の知人の開示が腰が少し引けていた事である。顧客にも先払いさせていて物品納入をしていないとか、相談を受けていた筆者にも説明の無い話が次々出て来てしまっては、筆者も中々サポートし切れない。

確かにまあ、売上が幾らあって、コストが幾らで、金利支払や債務弁済が幾ら必要で、と言う詳細を開示するのは気が引ける面はあるかも知れない。

しかし個人的には、洗いざらい過去の経緯、現在の状況、今後の再生計画を開示するべき正念場だったのではないかと思う。顧客の不信感が高まって、余計お客さんが逃げて行く事になりかねない状況のような感じだった。

起業・経営の現実は中々厳しい。

今回のポイントとしては、「不利な報告ほど、問題が発生した瞬間に直ぐに、率直に、straightforwardに単刀直入に包み隠さずしないといけない」と言う事である。対顧客にせよ、対社内の上司にせよ、法律相談をする際の弁護士向けにせよ、である。

問題が出て来た時、自分が何かミスをした時、自分で何とか出来ると思って居ると被害はどんどん拡大する。運用の商売でも、損が出た時にそのポジションを見て見ぬ振りで塩漬けすると酷い事になる。またパフォーマンスが悪い時ほど顧客の元に直ぐに馳せ参じないといけない。仕事でミスをしたり問題が生じたら直ぐに上司に報告しないといけない。問題がある時こそ重要なのである。

職人的な夢や理想の高い人だったが、それだけでは、顧客や債権者、取引先等の周囲の利害関係者に結局は迷惑を掛けてしまう。大人としてビジネスをやるとなると、「自分は良い奴で夢も理想もこんなにあるけど、お金の計算やビジネスは分からなくって」とカマトトぶる訳には行かないのである。

色々考えさせられた一日であった。

チャイ語学ぶぞ、えいえいおー


(出所:Amazon)

色々あった私事が解決して、やっと前向きな事に着手出来る状態になったので、取り敢えず、この2冊から購入。
成功法、成功本の類いに平素批判的な筆者も、こう言う実際的な所では、「まず周囲にディスクローズしちゃってやる状態を作り、イメージトレーニングやフォトリーディングやジーニアスコード(注)も活用してぺらぺらの自分をイメージして」と言うのを典型的に活用させて頂こうかと思う。

とは言え余り頑張ってもおっさんの手習いは続かないので、週末にちょっとづつとか、通勤電車の行き帰りとかで、ちょっとづつやれたらなと思う。

後は、同業者で平素から色々お世話になっている昔からの先輩兼悪友のAさんに教えて貰った、以下のサイトだ。


中国語の女性の先生を見て欲しい。若くて美人で知的な女性が沢山、、、こんな素敵な女性から、カフェでお茶でもしながら中国語を学べるなんて。むふふーーーーっ

やばい、むっつりすけべなおっさんになってしまった(汗)。
ドラクエとかでパフパフしてもらってぐへへーとか言ってるおっさんか俺は(爆)。
しかしまあむっつりすけべなのは概ね間違いないので、仕方無い。
この位のインセンチブが無いと、新しい語学を学ぶエナジー何て、中々湧かないのですよ。

しかしまあ、真面目な話、留学生もお金の工面も大変だろうし、こちらも語学を学ばせて貰いながら、将来有為な若者の支援が多少なりとも出来ると言うのは悪くないようにも思う。こちらもお金そんなにかけなくて済むし。

あとはふと思うのが、中国人留学生のレベルの高さである。英語、中国語、日本語のトリリンガルなんて当たり前。加えて医学だの経済だのの専攻を持っているような人材がごろごろ居て、むふふーとかぐへへーとか思うのも束の間、こりゃ日本は中国に追い抜かれる訳だなー、等と素に戻って思う昨今であった。

(注)こちら参照。神田昌典氏系の講座。余り成功法オタクになるのもどうかと思うが、スキルとしては便利である。

2010年3月26日金曜日

資本主義の新しい潮流:鎌倉投信

(出所:鎌倉投信

以前に紹介すると書いていた、「資本主義の新しい流れ」について。
今日は鎌倉投信。

筆者が初めて知ったのは、昨年12月の日経新聞の記事だった。
湘南と昨今ご縁が深い筆者的に、「鎌倉が本社の投信会社、同業者」と言うのは非常に鮮烈なイメージがあった。
会社に連絡して、ぜひ訪問させて欲しいと申し入れたのである。
上記写真は、鎌倉投信さんの本社社屋である。緑深い中にある古民家を改造してそこにあるこの本社社屋からして、既に一般の金融機関や運用会社とはひと味違う事が一目瞭然である。

話を聞いた第一印象。

「こんな金融マンも、ありなのか」
「金融による、投資運用業による社会貢献も、可能なのか」

と言う衝撃である。
これは衝撃だった。金融マンが、投資を通じた社会貢献ッスよ。マジっすかと。
(以下にテレ東の特集のリンクを張っておいたので、この感覚を皆さんにも体感して頂きたい)

古都鎌倉から長期投資を


・・・次のボーナスの話や解雇の話、誰それがMDになっただの、誰それがどこそこに移籍しただの、あそこの年俸は幾ら位だの、美味しい話や胡散臭い話、品のない話やオンナ(女性の同業者ならオトコ)の話やあれやこれや。(特に外資系金融やヘッジファンドだと)こう言う話題で刹那的なのが金融業界。

こう言う雰囲気は、筆者も若い頃は適度にエンジョイしつつも(まあ確かに、いわゆる一般的な会社員のどよーんとした雰囲気と比べると、こう言う適度にいい加減で適度に下品で適度に一発儲けられるかも知れないみたいな雰囲気は、例えて言うなら大航海時代の海賊やならずもの、船乗りの集まるパブ・酒場みたいな雰囲気もあり、楽しい面もある)、一方で一抹の疑問を持って居たし、昨今やや辟易して来て居た所だった。飽きて来たと言っても良いかも知れない。こう言うシャンパンの泡のような泡沫的雰囲気からはちょうど少し距離を置いていた所であった。

そんな所に鎌倉投信。
これこそ21世紀の成熟社会の日本に相応しい、ど真ん中の運用会社と直観した。

しかも、この会社の興味深い所は、「メンバー的に、理想が実現しそうな布陣」である事である。手掛ける人達が、BGI出身の、同業者から見ても正真正銘のプロフェッショナルなのである。理想に加えて、現実的に事に当たれる実務力がある。これは強い。

ファンドにも、少額だが申し込む事にした(申込は以下)。
社員によるブログ等もあり、どう言った所に投資する心づもりなのかはそれを読めば伺える。

鎌倉投信

ちなみに筆者は鎌倉投信さんから一切の販売インセンティブ、キックバックやその他便益は受けて居ない。同業者であるし、広く言えば競合だが、現職はヘッジファンドであり機関投資家のお金を扱っているため、投信とはバッティングしていない。また、運用のタイムホライゾンが現状の筆者と鎌倉投信さんでは大きく異なるため、その点でもバッティングしていない。同業者からみてこう言うファンドにはぜひ発展して欲しい、と心から感じたので、あくまで一個人として紹介しておく、と言う事である。

マネーと言う「概念」との関わり方次第で世界や人は、今まで「資本主義Matrix」等で紹介した通り、不幸にもなり得る。今まで再三再四書いている通り、マネーとの付き合い方には注意が必要である。

しかし翻ってマネーは「概念」であるから、これに「まごころ」と言う概念を込めて投じれば世界は幸せな方向にも変わり得る。皆一人一人の思考と、どう言った思いを込めて手許の一万円を投じるか次第によって、世界は不幸な方向にも幸せな方向にも変わり得るのである。

皆が、世の中が少しでも良くなりますように、日は当たらないが正しい事・社会に貢献する事を間違いなくやっている会社が報われるよう微力でも役に立ちますように、と思いを込めて投じる1万円が、鎌倉投信のような会社を通じて大きな束になって、実際の社会貢献に繋がるかも知れない。興味のある方は、ぜひWebサイトにアクセス頂ければと思う。ファンドの購入申込もインターネットから可能である。

鎌倉投信さんとの出会いは、筆者においても、感慨深い瞬間であった。一体自分がなぜ金融、投資運用の世界にご縁があって今に至るのか。自分はどう言った形で自分の能力や技能で持って誰かの役に立てるのか。こう言った、10年後、20年後の自身のゴールが、漠然とではあるが見えたような気がした瞬間であった。

(ただし、例によって投資は自己責任で。ファンド購入の際は、目論見書等を熟読し、専門家によるアドバイス等も受けた上で、各人の責任において投資頂きたく存じます。このサイトを読んだ事によって生じたいかなる損失に対しても、筆者は責任を負いません。)

書評:35歳の教科書

(出所:35歳の教科書 藤原和博著

いやあ、良い本である。
筆者の年代がばれてしまいそうだが、まあそれはいいとして。

「拝啓、終電帰りのビジネスパーソン様。35歳からは、ただ頑張っても報われません。サービス残業をしても、給料は上がりません。ポジティブシンキングだけでは、乗り切れません。そんな今こそ、あなたと家族がつくる人生が始まるのです。」

この帯の内容からして良い。その通りである。
本の内容も、まあ実際文章として読んでみると至極当たり前の内容なのだが、落ち着いた口調と視点で非常に納得感がある内容。35歳と言わず、就職活動の学生や、若い社会人が見ても価値のある内容と思う。幾つか内容を紹介しておく。

・「成長社会から成熟社会へ」

本書の価値観として一貫しているのは、「成長社会から成熟社会へ」「成熟社会における幸せなライフスタイルとは何かについて考える」と言う視点である。

つまり、戦後〜高度経済成長期の頃は、”正解”が比較的明確だった。貧乏から先進国へ、貧しい状態から物質的に豊かになるために皆一丸となれば良かった。言ってみれば、「戦後からの脱却のために一丸となって頑張ろう教」とでも言える宗教的な価値観の拠り所があり、各個人が幸せとは何ぞや等と深く考える必要が無かった。実際、家電が登場する事で主婦の睡眠時間は増え、社会的進出も可能になり、車やクーラーやマイホームを買う事で便利な生活になったし、敗戦国から一気に先進国にまで持って行った先人の貢献は大きい。この中では、皆一生懸命勉強して、良い大学を目指し、官僚や一流企業に勤め、会社のために身を粉にして働けば、生活水準も上がりそれなりに幸福感を感じる事が出来た世代だった。これが成長社会。今の中国位である。

しかし、今や物質的な面では満たされ、経済的な成長期も終わりGDPの成長率も鈍化し、一流企業の不況期のリストラに代表されるように年功序列終身雇用も崩れ、上記のような価値観の拠り所は既に崩壊した。このブログにも再三書いているが、ある程度の「お金」必要だが、マネーを最大化すれば幸せになる訳でもない(注1)。こう言った成熟社会においては、社会から与えられた価値観や正解と言うものが無いため、各個人が自分で自分なりの「納得解」を探さないといけない事になる。これが成熟社会。

こう言った時代背景、経済背景を前提として、仕事の事、プライベートの事、元中学校校長だった事もあるので教育の事等について色々書いてある。全体として非常に納得感のある内容である。


・完璧主義より修正主義

「成熟社会」のような、全体としての成長が小さく、しかも「戦後の脱却」「所得倍増計画」と言ったスローガンあるいは宗教の教義のような価値観の拠り所を国や社会から与えて貰えないような状況で、その上変化が非常に激しい社会においては、「完璧で理想のベストなゴール」を計画してそれに向けて邁進すると言うのは現実的ではない。また、計画だけ壮大になって前に進めないと言う事も往々にして起きる。とにかく目の前の事に集中し、小刻みにどんどん動き、刻々と変化する状況に合わせて改善し、走りながら「ベター」「納得解」を考えるのも良かろう、と言った話である。筆者個人の状況を照らして言えば、相場で運用をしていると非常に納得感のある考え方でもある。


・「10代集中、20代夢中、30代五里霧中」+40代以降でやりたい事やライフスタイルの実現。

つまり、10代はスポーツでも芸術でも何でもいいからとにかく一つの事に集中する事を覚えろ。これが全ての基礎体力になるし、「社会人になってから集中する事を学びました」と言う人は見た事がない(注2)。20代は突っ走るのもいい。余り早くにライフワークバランスとか言い始めるより、とにかく目の前の仕事に夢中になって、自分はこれが出来ると言う分野を確立するといい。30代は、20代に確立した自分の能力を使って、40代以降何がしたいのかと言う事を試行錯誤で考えていいし、40代以降への布石を打っておく年代。

自身がリアルタイムで30代だと、中々こう言った大所高所から眺めた指針が出ないし周囲に相談しても中々解が出ないので悩むものだが、既に50代で落ち着いているシニアからこう言うアドバイスを1000円に満たない額で貰えると言うのは非常に助かった。

中々30代たる筆者が一人で考えて居るだけでは煮詰まる面もあり、「30代は、今まで自分が身につけて来た技能や能力を元にして自分は中年〜壮年になって行く中で何がやりたいのか、試行錯誤していいんだ」と言う感覚には至るのが大変なものである。確かに、何の技能も無く、社会の酸いや甘いを知らなかった学生の頃に試行錯誤するのと、ある程度技能や能力の軸が出来ている今に試行錯誤するのとでは、また違った趣、違う地平を見ている中で試行錯誤出来ると言う面はある。こう言う事を言ってくれるシニアは本当に有り難いと思う。自分も20代や10代の人達に何を伝えられるだろうか、と言うのはブログを書きながら、色々物思う昨今である。


、、、そんな訳で、書籍はお勧めである。冒頭の本のカバー下の出所をクリックすれば、Amazonにリンクするようにしてある。ご興味のある方は、ぜひご一読を。


(注1)そう言う意味では、このご時世においてもひたすらマネーの最大化をすればゴールだ、年功序列終身雇用の崩壊に年金危機で脅威がある、起業したり投資したり会社を利用したりして「成功者」になればいいのだ、二極化の勝ち組になればいいのだ、と言った側面をひたすらに強調する考え方と言うのは、言ってみれば「成長社会」時代の残骸のようなもののようにも思う。つまり旧来の拠って立つ価値観が崩壊してしまった中で何とか安易にしがみつく偶像が必要な中で生まれた、偶像崇拝的な価値観のようにも思われるのである。思考のありようとしては前時代的、あるいは成長社会と成熟社会の移行期に生まれたあだ花的価値観のようにも思う。

こう言う偶像崇拝は、確かに自分で深く自分の事を自分なりに考えなくて良いので楽ではあるのだが、時代背景と合っていない思考で突っ走ってしまうと往々にして「資本主義Matrix」にハマってしまい、Matrixの向こうはまた別の資本主義Matrixで、変な不幸も次々起きて来て、どこまで走れば良いのやらと言う事になる。

そう言うのはもうやめにしませんか?今回紹介した書籍の通り、成熟社会における自分だけの生き方、自分なりの幸せに着地点と言うのを一緒に探しませんか?金融や経済面やキャリアアップのアーリーステージ(20代位の間)を堅実に乗り切るための知識的サポートは出来ますのでご参考願います。こう言う辺りが、筆者の提案であろうか。

結局の所、面倒くさいが、自分なりに行動して、修正して、走りながらもうんうん考えて、自分なりの価値観を確立する、と言うプロセスが必要なのである。実際、今回紹介した本でも、教育では「暗記して正解に至る力」よりも、「既存の価値観を疑ってみたり、その中で自分なりの考え方を確立する、考える力」が大事だ、と言う事を書いてあった。確かにそうだと思う。こう言うブログを書く中で、一人二人でも良いので、「自分で考える」「自分なりの幸せ、着地点、価値観を見いだす」と言うプロセスの参考になった、と言う人が出てくれれば、筆者としても嬉しい。

(注2)こう言う事情があるので、金融業界の採用においても、金融工学専攻で〜とか会計学専攻で〜等と言う話は言ってみればどうでもいい話で、分野は何でもいいから何かに集中して打ち込んだ経験の有無が問われるのである。就職活動中の学生さん等に関しては、参考にされると良いのではないかと思う。

2010年3月22日月曜日

とある知人からの連絡

(出所:http://www.publicdomainpictures.net/)

独立して、自身で小規模のビジネスをやっている、とある知人から連絡があった。

「家賃延滞していた大家から明日で退去勧告が来ている。銀行からの借入負担もある。資産の差し押さえも入るかも知れない。期日がない。どうすれば。。。」

との事。普段は気丈だったはずの知人は、すっかり憔悴していた。
人柄はしごく温厚で素晴らしいし、職人タイプでその事業の事なら詳しい人物なのだが、会社の経営となると不得手の面があり、更には会社が潰れそうな時にどう振る舞えば良いかなど全く分からないようだった。目の焦点が定まっておらず、破産してしまった方がいいだろうか、顧客にはどう説明したらいいか、あの時こうしておけば良かったのに、と完全にパニックになっていた。

危機が来た時にどう言う気分になるかは、筆者も経験済みなので、気分はよく分かった。
色々話を聞いた上で、幾つか指示をした。

*過去の事、「たら」「れば」はとにかく忘れて。今この瞬間から何が出来るかだけにフォーカスして。

*とにかく深呼吸して。外の空気を吸う。頭でもやもや考えて居ると余計追いつめられるから、利害関係者と、状況と、取るべきアクションを紙に書いて一覧にして対応を考える。テンパってるのはよく分かるが、とにかく落ち着く。一人じゃない。皆で考えれば何かしら知恵は出て来る。

*借入先の銀行で懇意にしている人は居る?居るなら、状況を説明してリスケをお願いするんだ。額も少額だし、ビジネスからのキャッシュフローが無い訳じゃない。相談に乗ってくれるかもしれない。

*コストの中では賃貸料の比率が高いみたいだね。幾ら延滞があっても、対大家では、借り主・占有者の方が基本的に権利が強くて、実際退去させるとなると大家側も大変な手間がかかる。状況を説明して、滞納家賃の一部でも良いから何とか気持ちとして支払をして説得して、家賃減額と滞納家賃の分割払いの交渉をするんだ。賃貸物件の形態が特殊で転用が効きづらいから、大家だって次の借り主を簡単には見つけられないはず。近隣の家賃だってかなり下がっているはず。交渉の余地はあると思う。

*後は弁護士に相談しに行くといい。延滞額も債務の額もそんなに大きくない。破産に入れてしまうのは簡単だし債務額が余りに過大な場合は破産に入れてしまった方がいいと言う場合もあるが、一応既存ビジネスから多少なりともキャッシュフローが上がっているし、季節性は大きいものの比較的粗利率の良いビジネスも持っている。債務の弁済延期等で対応してその間に再生する、と言う方法もある。破産した場合銀行にも泣いて貰う事になるし、大家さんから物件の保証人に支払請求が行く事になると思う。銀行の担当者からの信頼や、友人知人が保証人なら特に友情も台無しになる。規制ビジネス等に従事する際等に制限がかかる分野もあるし、銀行からの借入も勿論難しくなる。再起する際にも影響は勿論出る。成り行きで安易に決める話ではない。弁護士が付いているとなれば大家や債権者も変な事はしづらくなる。専門家と相談して、どう動くか考える事を薦める。弁護士費用は分割や後払いにする事も出来る。事前に紙等に状況や相談したい事を書いた書面等準備すれば短時間の相談で円滑と思う。

、、、まあ、ハッキリ言って素人でも言えるような大した話では無いのだが、多少救いになったようだったので、ちょっと良かった。後は筆者に出来る事はそう多くない。結局本人が現実と立ち向かう以外にはない。幸運を祈っている。

それにしても、こう言う金銭利害の話の整理は金融屋が比較的得意な分野の話なのかも知れない。ショックやスランプが起きても淡々とToDoを考えて遂行する事だけを考える事が出来る(いや、もちろんこう言う場合は感情的にはショックだし、テンションは非常に低いのだが)と言うのはヘッジファンド屋をやるようになって身に付いた事かも知れない。

普段当たり前の事だと思って居たこれら事柄が案外時と場合によっては貴重なケースがあって、金融屋のスキルをこうやって他人の役立てる事も出来るのか、随分と相場には色々与えて貰っているものだな等と、意外な思いをしたと同時に、相場に感謝した昨今であった(勿論この商売してると、単純に相場の神様有り難う、感謝感激、とかだけでなく、色々な気分になる事もありますけれども)。

2010年3月20日土曜日

純愛レズビアン純文学系アニメ

(出所:フジメディアHD)

純愛レズビアン純文学系アニメ、キター!!!
DVD全部一気に観てしまった、、、汗
舞台が筆者の好きな湘南だし、、、
レズビアンの恋愛を題材にしているんだけれども、下品でなく、純愛を描いており、
高校生位の微妙な年頃の微妙に揺れ動く心情等を美しく描いており、
文学の薫りを感じる事が出来た。(以下参照)


自身が気づいてみると、こう言う話の主人公の側から、
それを見守るお父さんお母さんの年代になって来ている事を実感する昨今である。
時は流れますのお、と縁側でお茶をすするの図、、、と言うにはまだ若いですが。
何と言うか。

しかしそれにしても今期は、手痛い下方修正やってしまったフジメディアHD4676。
来期にかけては、「タイム広告は上期まだきついものの、スポットは回復、その上のだめ最終章始め映画コンテンツラインナップ豊富」と見るレポートも書けるし、「スポットは回復、その上のだめ最終章始め映画コンテンツラインナップ豊富なものの、タイム広告は上期まだきつい」と見るレポートも書ける感じですな。。。と、「レズビアン純文学系アニメDVD計5巻を一気に見るのも仕事なんだ、そうだきっと仕事なんだ、そうだそうだ、そうに違いない」と適度に自己主張させて頂きつつも、余り休日の趣味で仕事の話をしちゃイカンですねとも思う昨今(個人のブログであり、職場のポジショントークをする場所ではないので)。例により、何らの投資に関する判断を示す訳ではございません、当ブログを読んだ事によるいかなる損失も筆者は責任を負いません、投資は自己責任で。

2010年3月19日金曜日

「資本主義Matrix」を超えて:マネーとの適切な付き合い方 起業家編

(出所:http://www.istockphoto.com/)

更に具体的な話を続けよう。

前回は会社員の「会社との適切な付き合い方、マネーとの適切な付き合い方」を書いた。

次は起業家編である。株を調べていると、上場に成功させた起業家やその幹部と多数取材をする事になる。また、ヘッジファンドと言う業界の特性上、同業者で独立する人も少なくないし、色々な形で起業家とは話をする事になる。一緒に起業しないかと言った話も時折あったりする。そう言う観点で書いてみようと思う。


・「会社員が嫌だから起業をする」と言うのは、概ね成功しない。

運用業界の同業者でもこう言う人は居るし、その他の業界でもこう言う人は居る。
会社員の人間関係が嫌、上司に指図されるのが嫌、安月給が嫌、ロバートキヨサキの「金持ち父さん貧乏父さん」でも起業しろって書いてあるじゃないか、と。

残念だが、こう言うマインドで起業した人の過半は成功しない。

まず、話を聞いていると過半の場合は、大したビジョン・展望もなく、事業計画も甘過ぎるあるいは殆ど事業計画を持っていない場合も多い。

そして、自身が顧客に提供出来る価値が何で、そのための自分が市場における他人/他社には出来ないエッジがどこにあるのか、と言った観点も持ち合わせて居ない事が多い。

更には、例えばヘッジファンドを実弾での運用をした事が無いのに設立してしまったり、会社員としても大したキャリアや実績も無いのに起業してしまったりしているケースも散見される。これでは上手く行かない。会社がインフラや顧客網、ビジネスフランチャイズをお膳立てしてくれると言う環境で実績の出せない人が、インフラ、顧客網、その他ビジネスフランチャイズをゼロから自分で立ち上げないといけない独立で成功する可能性は非常に小さい。会社で学ぶ事がまだあるなら、会社員を続けるべきである。

起業は反抗期の子供のお遊びではない。会社員(学校)が嫌で、起業(バイクでも酒でもセックスでもドラッグでも何でもいい)に憧れる、みたいな次元の感性ではまず成功しないのである。勿論筆者もこう言う類いの人物と一緒に起業したり、投資したりする事はない。


・起業に夢を見過ぎるな。

起業家(志望者)で良くあるのがこれである。

例えばアメリカやシリコンバレーの例、アップルのスティーブジョブズの言葉、その他成功哲学本や色々を読んだのか、夢のような事だけは一丁前なパターンである。「アメリカでは、起業してチャレンジする事が賞賛されているのに、日本では閉塞感がある。自分がこれを打破するんだ」「スティーブジョブズによると、、、」「成功者のなんたらによると、、、」等とご立派な事も次々に並べ立てて言ってみたりもする。

しかし試しに、「じゃあ起業してどうやって事業を軌道に乗せるの?」「軌道に乗るまでの間のキャッシュフローはどうやって確保するの?」等と聞くと、酷い場合「キャッシュフローって何?」と言うレベルだったりする。起業している間、どうやって生活するつもりなのだろうか。

以前にも書いたように思うが、起業の9割は失敗するものと心得るべきであり、更に言えば、アメリカと日本の社会的背景は全く異なると言う事を肝に命じておいたほうがいい。

アメリカの場合起業して失敗しても、MBAにでも行って投資銀行やコンサルにでもカムバックすれば(比較的高給取りでキャリア的にも申し分無い)会社員に比較的容易に戻れる。企業側も、起業して上手く行かなかった、そこから色々学んだ、と言う事を評価もしてくれるので、会社員へのリカバリーも容易なのである。

資金調達の手段も充実している。エンジェル投資家やベンチャーキャピタル等の層も厚く、銀行も起業家に個人保証を取ったりする事はない。立ち上げるビジネスのリスクに応じた金利を乗せて貸出してくれる。つまり起業家自身は、失敗しても最悪自分の会社の株に自己投資した分を失うだけ、最悪一文無しになるだけ、と言う形でリスクを限定出来る。

上記のように教育、企業、投資家、と言う全体のシステム総出でもって、起業家がリスクを限定出来て、上手く一発やったら9回の失敗を補って余りあるリターンが得られると言う状況を作り出す事に貢献しているのである。結果として、起業に対するインセンティブ、「高いリスク/リワードレシオ」(要するにリスクを抑えられる割にリターンが高いと言う事)が米国の起業にはあるのである。これが、リーマンショック後かげりが出たとは言え、アメリカの強さでもある。他国は容易にこのシステムを真似する事は出来ていない。

一方で、日本には上記のような充実した起業インフラが、社会として存在しない。一回会社員を辞めて起業して失敗した人間に対して、企業の雇用は寛容ではない。以前よりは労働市場も流動化したとは言え、金融やIT等の一部の業界を除くと日本の場合転職市場が未成熟な事も背景としてある。エンジェル投資家やリスクの取れるアーリーステージのベンチャーキャピタルと言ったリスクキャピタルが不足しており、資金調達の手段も限定的である。銀行から借入しようとなると個人保証を取られたり、自分個人の家を担保に入れないと借りられない、と言う話になる。こんな状況で起業して失敗したら、借金漬け、家は差し押さえられ、ナニワ金融道の「資本主義の修羅界」に一直線である。

こう言う事を言うと、「否定的な事を言っても始まらない」「ポジティブマインドがあれば大丈夫だ、セレンディピティが起きて必ず上手く行く」「キミのような保守的でベンチャースピリットに欠ける抵抗勢力を打ち破るのが自分の使命だ」等と言われるものだが、残念だが、その辺の成功哲学本を表面だけなぞって浮ついた事を言っているだけではやっぱり上手く行かない(注1)。

心の奥底、深いレベルからにじみ出て来るような肩の力の抜けた自己信頼と前向きさ(注2)、現実をきちんと把握した上での現実的で実行可能なゲームプランが必要であり、投資する側としては投資する際のまずは必須条件である。これらがあっても時代や景気の巡り合わせが悪ければ上手く行かない事だってある。起業するだけなら今や資本金も掛けずに会社設立は出来るし簡単に出来るが、それを継続するのは大変である。

こう言う現実をきちんと理解した上で、起業するかしないか考える事をお勧めする(注3)。


・会社を辞めて”自分探し”等と称して起業するな

時々、「会社辞めて、”自分探し”して起業する」とか言う人が居るが、これも起業失敗の必殺パターンである。

青い鳥症候群のごとく自分探しの旅に出た所で、青い鳥はどこにも居はしない。探すべき自分はどこか遠くの場所や遠くの未来にあるのではなく、今ここにいる自分にしかない。

それに会社を辞めてから事業案をゼロから練ると言うのでは、仕事が無い間のキャッシュも持たない。事業案があっても、それを現実に立ち上げる所がこれまた長いプロセスなのだ。売上が立ってそこから生活出来るようになるには時間がかかる。

前にも書いたが、学生さんなら学生、大人なら会社員を「コアビジネスの本業」としてやりながら、R&Dとして週末に趣味で始めてみたり、週末の副業で始めてみたりする所から始めるのが良いだろう。Dellなんかもそうやって今のグローバル大手PCメーカーになった。ヘッジファンド屋でもシタデルのケン・グリフィンやジム・クレーマーは学生時代にトレーディングを始めてみたり銘柄レポートを売ったりする所から始めて居る。失敗しても直ぐたためるし、生活費等に困る事なく試行錯誤を繰り返せる。


・ビジネスモデルに留意すべし。

基本的に、起業する際は以下のようなビジネスモデルを徹底するべきである。


*先行投資が少なくて済む。借金せずに立ち上げが出来る分野にする。

*在庫リスクを取らないで済む。受注生産等。

*売上回収が出来れば前払いで確実に出来る状況にする。

*大手が参入しづらいようなニッチ分野で、自身の強みが活きる分野で参入する。

*顧客が分散しており、特定大手の顧客に依存する事がない。

*先攻プレーヤーの居ない新規で成長の期待出来る分野か、あるいは成熟分野過ぎて新規参入もなく、経営の素人によって極めてどんぶり勘定でゆるーく経営されている分野を選ぶ。

詰まる所キャッシュフローにおいて、キャッシュインが先でキャッシュアウトが少なくて済む商売で、借入等も不要で、軌道に乗って来た途端に大手の大資本が一気呵成に参入して来て蹴散らされると言った事の無い商売を選ぶと言う事である。ウォーレンバフェット等もこう言うビジネスに投資するのが大好きである。筆者もこう言う分野で起業すると言う人が居たら、ちょっと目の色が変わる。


・ビジョン/展望があるように。

例えば、アフィリエイトで起業しましたとか、FXトレードで大もうけしましたとか、そう言う分野で儲けている人は確かに居る。しかし、こう言う「So-what?」な商売、ビジョンの無い商売と言うのは、結局は長続きしないように思う(注4)。アフィリエイトのシステムが変わったりネット広告の潮流が変わったらどうするのだろうか(変化が早い世界なので、高い確率であり得る話である)。FXで高金利通貨ロングの円ショートでキャリートレードしていて儲かったのが逆流したら果たして上手く対応出来るだろうか(こうしてキモノトレーダーやミセスワタナベの多くは消えて行った。為替のトレードで上手くやり続けると言うのはプロにとっても相当に難しい分野である)。

ビジョン倒れ、理想だけ、と言うのも勿論良くない。しかし逆に日銭稼ぎや自分が金持ちになる事ばかりにフォーカスされていて、他人の役に立とうとか何か有意義な事をしようと言った哲学が余りにもない、稼げりゃいいんだと言う考え方もまたsustainableではない。「資本主義Matrix」にどっぷりハマってしまい、一瞬上手く行ってもどこかで転落する事間違い無しである。

そんな訳で、どうせ起業するなら、スケールはどんなに小さくても構わないので、「それをやる事で社会がちょっぴりでも良くなる」「喜んでくれる人が出来る」「勿論自分も嬉しい、楽しい」と言ったような、夢のあるビジョンがあって欲しいと思う。起業とは元来、会社員として仕事の技能等はある程度磨いては来たが、こう言う何かやりたい事が出来て来た、しかし会社員では中々実現出来ない、と言った時にするもののようにも思う。投資をする際も、語彙が「稼げりゃ何でもいい」と言った類いの語彙の会社には幾ら目先儲かりそうでも投資をしないとか、まっとうなビジョンや社是を掲げている会社を選ぶ、と言うディシプリンがある事は重要である。


・チームを組むべし。桃太郎理論、あるいはドラクエ理論とでも言うべきか。

上記を総括すると、「精神的に成熟していて、理想もあり、一方でビジネスモデルの構築面や自社のポジショニングの戦略、キャッシュフローの手当等も考えられる位現実的でもあり、カリスマもあるけど、脇も堅くて」みたいな話になる。当たり前だが、一人の人間で中々これらを全部持っている人間など多くは無い。

そこで、チームを組む事になる。神田昌典氏は、「桃太郎理論」と命名している。ビジョンを持ち前に進む桃太郎に、異なるスキルや才能を持つ犬、猿、キジでチームでやると。

世代的にドラクエやファイナルファンタジー世代初期の筆者としては、「ドラクエ理論」「ファイナルファンタジー理論」と名付けておこう。ビジョンがあり人をまとめたり惹き付けるカリスマのある勇者、営業が得意で攻めに強い戦士、バックオフィス構築や経理・法務等の守り・脇を固める分野に強い僧侶(白魔法使い)、経営戦略やファイナンス面等に強い魔法使い(黒魔法使い)、と言ったチームで運営出来ると理想である。

投資をする際も、マネジメントチームのバランス感と言うのは注目するポイントである。全員営業出身のマネジメントチームなら、いけいけどんどん過ぎてコンプライアンスやバックオフィスが弱いかも知れないなとか、研究者ばかりの場合技術は強くてもそれをマネタイズする能力が弱いかも知れないなとか、元検事や元警察庁のシニア等が役員で居る場合は、東京地検や警察向けに守りを固める必要があるようなやや際どい商売をしているのか、等と判断する訳である。バランスが取れているチームほど成功確率は上がるし、少なくともミゼラブルな事にはならないで済む。

チームを組む際の留意点としては、友人同士でやる場合も、仕事としての序列や利害関係を最初にきちんと決めておく事である。出資比率、報酬配分、どの程度のコミットを各自がするのか(休日のみか、フルタイムか。あるいは最低何年間コミットするがそれ以降は各自の人生の都合に応じてチームから抜ける事もあり得る旨等)、意見がメンバー内で割れた際にどうやって意思決定するか、等ちゃんと決めておくべきであると言う事である。何となくなあなあで仲間内でチームを組んだは良いが、事業を開始して利害が複雑になって来たり金銭関係の利害が生じて来るとと共に紛争が起きてドロドロした展開になる、と言うのは非常に良くある失敗なので、この点加えておきたい。

・・・今日はこんな所で。皆様良い3連休を。


(以下注釈)

(注1)ヘッジファンドの運用屋を経験して本当に良かったと思うのは、こう言ったシビアな現実をきちんと受け入れられるようになった事だろうか。

相場では皆成功したいと思っているし、セレンディピティだの偶然の必然的な奇跡が起きてもおかしくない位に、市場参加者の多くは相場や株式投資の事を愛している。

それでも実際そう簡単に皆が相場で勝てる訳ではないし、冷静な確率論の世界で物事を考えるのは重要であるし、自分のエッジを活かしたきちんとしたゲームプランが必要である。相場の仕事を通じて、こう言った事を自然と学ぶ事が出来る。

(注2)成功哲学本の表面だけなぞってポジティブ全開の人物と、腹の底からしっかり前向きな人の区別は比較的容易に付く。

前者と接していると、何となく薄気味悪かったり、表面的にポジティブ全開であろう、頑張ろうとしている感じが伝わって来てしまい、接していて疲れるのである。皆さんもこう言う感じは何となく経験はあるのではないかと思う。自己啓発セミナーなんかに行ったり、経営者が精神的に未熟なベンチャー企業と関わったりするとしばしば経験する感覚である。多分自分を前向きに洗脳するのに一生懸命で心にゆとりもないし、ちょっとでも否定的な事や自分に批判的な事を言う人が居ると洗脳が解けてしまうから拒否反応を示すんだろうし、一方で心の闇・ダークサイドがどんどん肥大化して苦しいんだろうなと言う事が傍からも分かってしまう感じとでも言えば良いだろうか。接していてクドくて疲れるタイプの前向きさである。こう言う前向きさは長続きしない。資本主義Matrixで言う所の「自分は惨めだ」「自分には価値が無い」と言ったコンプレックスをベースに、それをポジティブシンキングの洗脳で覆い隠そうと繕っているだけだからである。そのうちバランスが取れなくなって、資本主義Matrixの下方循環に向かい始める。

一方で、後者の場合適度に肩の力が抜けているし、やたらと成功哲学本の引用そのまんまみたいな発言を繰り返したりはしない。適度にぐうたらしていたりそそっかしかったりして人間らしい自然なふるまいがあって、接していて疲れない。そして時折ふっと出る言葉が、人生の酸いも甘いも光も闇も味わった上で自分の言葉で出ている感じで、じわっと響く感じに前向き、と言う感じである。こう言う人は資本主義Matrixの不幸な循環に入り込まずに、飄々と前に進む事が出来るし、成功しても奢り等が生じる事も無く、周囲に感謝の気持ちを自然に持ちながら、転落する事等もない。こう言う人が起業すると強いように思う。

この辺は、新興市場・中小型株の経営者や役員等と面談する作業を長らくやっていると非常に明瞭に判別出来るようになった。相場の神様からこう言う機会を与えて貰った事には筆者も感謝している(まあ、色々苦労もありますけれども)。

(注3)起業について考える際、あるいは勝負する・リスクテイクする人生を選ぶべきか安定した人生を選ぶべきか考える際は、ぜひ以下の書籍をお勧めする。内館牧子氏の良著である。安定の良さと言うのもあるし、むやみにリスクテイクだけすれば良いと言う話でもない。しかし安定した人生だけ過ごしていても何か言いようのない不完全燃焼感があるのも事実であるし、リスクテイクしたらしたで大変な面もある。この辺の事柄について非常に考えさせられる内容である。


ちなみに筆者に関して言えば、事の流れで何となくリスクテイクする側になった。大手の日系ロングオンリーかどこかで決算説明会で軽く居眠り等してまったりしながら適度に財務モデルやレポートを作成してぼちぼち投資判断を出して、ソコソコ悪くない給与を貰って普通に安定した家庭を築いて過ごすような人生も、若い頃は正直バカにしていたが、歳を取った今となっては(皮肉等ではなく、ガチに大真面目に)憧れる面もある。

ただ、そちらの世界にずっと居たら、ヘッジファンドに対する憧れ、自分の限りを尽くしてびゅんびゅん売買して勝負する事への憧れと、自分が相場の仕事をしているとうそぶいてみても実際は全然勝負していない事に対する引け目のようなものは残ってしまったのではないかとも思う。今であれば「自分は相場で勝負していて、それが仕事だ」と胸を張って言えるし、仮に業界を出て行く事になっても悔いはないと言う実感がある。しかしはっきり言って収入も立場も安定しないし(運用パフォーマンス3ヶ月で君は凄いと褒めそやされたり、一転して君は存在価値もないと言われたりする世界である)、普通にしているとストレスや負荷も相当強烈にかかるため遥かに高度なセルフケアや自己観察が必要になるし、色んな面倒だってある。

何を良しとするかは、各人の価値観によるように思う。

(注4)個人でFXトレード等して儲けましたと言うのと、ヘッジファンド等の資産運用業の一番の大きな違いは、前者は自分の口座の額が増えるだけである一方、後者は顧客の年金や大学運営等の運営の一端に貢献出来る、顧客(証券会社のプロップ等では株主)の代わりに相場の上下にまつわるストレスや問題を自身のスキルやメンタル面の管理でもって肩代わりして貢献していると言う点だろう。誰に貢献しているのか分からないと言う気分で仕事するのと、自分のスキルでもって他人に貢献していると言う気分で仕事出来るのとでは、気分的に結構違うように思う。

2010年3月5日金曜日

「資本主義Matrix」を超えて:マネーとの適切な付き合い方 続きその3

(出所:http://www.publicdomainpictures.net/)

マネーとの適切な付き合い方について、更に続きである。

今までの所で、以下のような点について述べて来た。

・適切な自己評価、自己信頼を持つ事。
・適切な自己信頼獲得のプロセスにおいては、子供時代の教育や親からの影響、過去のトラウマ等が複雑に関係している事も多いので、場合によってはコーチやカウンセラーも活用する事。
・負の感情で突っ走り過ぎない事の重要性。
・他人と比較せず、マイペースで自分にとっての自分なりの”楽しい””幸せ”にフォーカスする事の重要性。
・生活に必要な、交換手段としての「お金」については堅実な知識と獲得のための必要な努力と運用を。信用、パワーの大小を表す概念としての「マネー」については距離を取る事。
・後者の「マネー」に関連して、恐怖と欲望を煽って儲けようとするような、お話「モモ」で言う所の「灰色の男達」に騙されないようにする事。
・具体的には、教育、新築マイホーム、老後資金、二極化進展下での勝ち組になる方法・経済的成功を得るための方法、と言った分野が要注意。関わる「マネー」の額が大きくて、あたかもそれが、生活に必要な「お金」であるかのように見せかけられるような分野で「灰色の男達」は活躍し易い。特にこの点で実際にはそんなにカネがかからない事、一般世間で言われて居るような費用はかからない事を理解し、恐怖や欲望を煽られないようにする事。

以上で概ねの所は語ったかとも思うが、今回以降で、もう少し各論について話してみたい。
今回は、会社、仕事との付き合い方についてである。


○「会社」「仕事」との付き合い方について。

・イキナリ起業する必要はない。

まず、一般的には、イキナリ起業する必要は無いと思う(注1)。IT等の分野でよっぽどの新技術を開発したとか、本当に美味しいビジネススポットを見つけた等が無い限り、学校を卒業したら、当面は会社員で良いと言う事である。人生そんなに焦る事はない。

勿論、「会社員なんて一番収奪される一番冴えないありようですよ」「人生つまらなくないですか?」「上司にへこへこするなんてバカバカしくないですか?満員電車に乗って毎日通勤するなんて嫌じゃないですか?」「楽して不労所得が欲しくないですか?」等と言う者も居るだろうし、部分的には頷ける面もある。

しかし、大学を卒業してから当面の間、特に20代〜30代半ばまでの間位は、会社員と言う商売は、そんなにリスク/リターンは悪くないし、美味しい面も沢山ある。以下に利点を幾つか挙げておこう。

・電話の応対、名刺交換のやり方、挨拶、飲み会の幹事その他、社会人として必要なマナーとスキルを無料で身に付けられる。社会人マナー等の先生に教えて貰うと何十万円もかかる内容である。こう言う基本動作を身につけないうちに起業してしまうと、確率的には不幸な結果になる事が多くなる(勿論10代で起業して成功する人等も居るが、これは例外の部類)。この上、英語研修や語学学校代の補助にTOEIC等の得点に対する手当、資格取得の補助や手当等が付く会社もある。活用しない手はない。

・社会的信用を身につけられる。何年かでも、会社員をキチンとやっていたと言う信用を身につけられる上、知名度の高い会社であれば仮に独立した後も、「元××」と言う肩書きを活用出来る。例えば金融業界なら以前紹介した通り、「元野村、元大手外資系金融出身」と言うのは、ヘッジファンド等設立して独立する際に助けになる。その他、元大手商社、元大手広告代理店、元大手製造業、元リクルート、と言った肩書きは、独立した際にこの手の信用があると無いとでは、ビジネスのやり易さ、営業のし易さ、信用して貰い易さが格段に違う。

・自然と「ある程度優秀で、信用出来る人脈」が出来る。会社員だと当たり前の常識(例えば詐欺で儲ける等をしない、契約ほおり投げて夜逃げ等しない、等)が、起業家ワールドでは全然通じず、有象無象が出て来たりする事も少なからずある。会社員、特に大手企業同士の取引先等との付き合いであればこう言う事は非常に少ない。

・特に20代のうちは、会社員としての金銭面でのリスク/リターンはそんなに悪くない。普通にキチンと仕事を覚えて仕事が出来るようになって、仕事に必要だったり持っていた方が良い関連資格を取って、英語力や対人スキル等のソフトスキルもマイペースに磨いて、と言う事をやっているだけで、自然に給料も立場も上がる場合が過半である。言ってみればノーリスクミドルリターンが狙える。新卒時に年収300−400万円程度の人なら、こうやってやって行けば30歳の頃には年収600−800万円位にはなっているだろうし、日本企業の一部や外資系企業なら30歳前後で年収1000万円程度には、普通の人間でも比較的普通になれる。


一方で、会社員と言う商売、ビジネスモデルには欠点も少なくないので、以下の点に留意しておくと良いと思う。

・30代以降は会社員の給与は幾ら努力しても頭打ちになり、40代には給与が減り始め、また不況時には肩たたきやリストラの対象になる場合が多くなる(注2)。

対応策:20代の終わり、30代位から、日々の業務等は部下に委譲して自由な時間を作り、週末等に副業を始めると言った手段で、「会社員をやらない状態、会社の外で何が出来るか」を徐々に模索して行く。会社の外で趣味やボランティア活動等始めるのも良いだろう。単純に人生を楽しめると言う面もあるし、趣味だとか、仕事の外の利害のない友人だとかが後に独立する際等のきっかけになる、と言った事は結構ある。

・満員電車は、確かに人の心を疲弊させる。

対応策:満員電車については特に若い頃、独身の頃は職住近接にする等の対応を薦める。あるいは家賃等の関係上ある程度郊外にならざるを得ないと言う事であれば、朝早く起きて座れる時間に会社に出かけて電車内を睡眠時間や英語のリスニング等の勉強時間に充て、会社の始業前にちょっと仕事をしたり、あるいは会社の近所の喫茶店等で資格の勉強をしたりする習慣が出来ると尚良い。若い頃にこう言う習慣が出来ていると、歳を取ってからも確実に見返りがある。

・上司の関係等も人の心を疲弊させる。

対応策:ある程度は諦めて受け入れる。やりづらい人物との距離の取り方や接し方等を学べる面もあるし、「会社員の悲哀」のようなものをキチンと理解している、そう言う理解を持って周囲の人と接する事が出来る人間力と言うのは、起業してからも必ず活きる。また、もう出世はいいやと言う段階、あるいはある程度仕事が出来るようになった所で、嫌な上司とのやり取りは用件だけの最小限にしたり、比較的和やかに運営されている部署に異動を申し出る等の対応は取れる。

・前回も書いたが、住宅ローンで新築を買うと財務バランスがJAL並みに悪くなる。

対応策:賃貸で過ごす。買う際も中古物件を買ってリフォームする事を先に考える。不動産は住むものとしてでなく運用するものとして考える。会社員だとついついローンが組み易いし、周囲の人も新築の家を買っていたりするが、新築はとにかく割高で、筆者から言えば裕福な人の趣味である。この点をキチンと理解する(注3)。以下の人気ブログにも書いてあるが、10年以上ローンを組まないと返せないような家は買わない事である。


・節税がしづらい。源泉徴収で節税余地がなく確実にがっぽり持って行かれる。

対応策:会社員として可能な範囲で節税する。例えば賃貸している自宅を会社の社宅名義にして貰い、年収から先に家賃分を引いて給与を貰うスキームにして貰えば、見た目上の年収を家賃分だけ下げられるので節税になる。転職時に会社に交渉したり、総務等に交渉すれば多くの会社はこの位はやってくれる。また、海外オフィス等があり海外勤務の機会がある企業で働いている場合は、香港等の所得税の安い地域での勤務にして貰うのも手である(香港は年収が幾ら上がっても所得税が15%なので、特に年収がある程度ある人向けの戦略)。

・・・会社との付き合い方は他にも書けば色々長くなるが、取り敢えずこんな所で。


(以下注釈)

(注1)ただし、学生時代に、借金しない範囲で学生ベンチャーとして起業してみる事は大いに薦める。多分上手く行かないだろうが、その失敗の経験も含めて非常に勉強になるだろう。

借金さえして居なければ、失敗しても会社をたたんで就職活動して会社員になれば良いのでリカバリーも極めて容易である。就職活動の際にも、学生時代に起業したが上手く行かなかった、こんな学びがあった、既に利益を生んで成長出来ている企業組織の偉大さを思い知った(実際偉大なので、学生さんにはぜひ思い知って頂きたい)、御社に入ってビジネスについてキチンと学びたい、等と言うのは企業側も非常に高く評価するポイントである。採用の優先順位としては最上位の部類に入れるだろう。

一回会社員をやって、企業社会は嫌だから会社員を離脱して起業したと言う人間が会社員にカムバックするのは大変であるし、企業側も採用を嫌がる。しかし学生時代に起業して、上手く行かなくて、会社員として学びたい・ビジネスマンとして磨きたいと言うのは話が別な訳である。リスクは極めて限定されている上に、起業が成功すれば勿論大いにラッキーだし、成功しなくてもその失敗経験を就職活動でエントリーシートや面接で売り込めば簡単に採用して貰えると言う面での高いリターンがある。読者が学生であれば、この立場を利用しない手はないと思う。

(注2)これは上場企業を通算1000社以上リサーチして来た筆者の実感でもあるし、統計データが欲しければ以下の書籍も参照。もの凄い現実的過ぎてげんなりすると言う話もあるが、現実をキチンと知った上で過度に恐れたり、マネーを稼ぐ事ばかりに焦り過ぎたりしないように腰を据えて対応する、と言うのは大切な事のようにも思うので、紹介しておく。


(注3)多少上級テクニックにはなるが、会社の優遇ローン等で居住目的で中古の物件を安く買って、適当な理由を付けて家を賃貸に出して運用するのも良いだろう。周囲の知人でもそう言う人は少なからず居る。会社の信用を拝借して信用枠を安い金利で引っ張って来て、不動産の運用をしましょうと言う、サラリーマンだからこそ可能な資産運用になる。

信用・クレジットは元来タダではない訳だが、大手企業の会社員で、「居住目的」と言う理屈を付けるとと会社の信用をタダ借りして低金利での借入を引き出せると言う事、更には「居住目的」で借りたからと言って必ずしも自分が居住する必要はなく、賃貸に回す事が出来ると言う面に、このアービトラージの美味しさがある。

ただし、不動産投資の際には前勉強をしっかりする事。適切な家賃を取れて空室が出ないような中古物件を、リーズナブルな価格で買えないとこのディールは上手く行かない。資金調達を安く引っ張って来ても、運用側で失敗すれば勿論損失になる。(投資によるいかなる損失も筆者は責任を負いません。投資は自己責任で。)